サンジャックへの道 目次
原題について
見どころ
予備知識として
聖ヤ―コブ伝説
奇蹟の伝説と巡礼風習
あらすじ
不仲の3人兄妹弟
出発地のルピュイ
道連れの面々
何も持たないクロード
現代フランス人の旅
「やれやれ」な旅立ち
余計な重荷は捨てるしかない
「余計なもの」を捨てる旅
人生は重荷を背負った上り坂
クロード
ラムジ
カミユ
マティルド
ギュイ
人生の出会いと交錯
「原則」とリアリズム
道連れ、そして仲間意識
ラムジの境遇
課題を見つけたクララ
ラムジの学習
「薬漬けの日々」からの脱出
聖職者たち
聖職者も人間・・・
誠実な神父もいる
強欲で罰当たりな司祭
聖地まで歩き続けるぞ!
虚栄で流行を追う者
寄せ集め国家の不協和音
仲間は兄弟、助け合うもの!
聖地巡礼で得たもの
クロードの酒気を抜け
巡礼旅の終わりに
エピローグ

強欲で罰当たりな司祭

  天候が荒れ模様を示そうとしているある日の夕刻、一行は裕福そうな町に到着しました。
  しかし、これまた夏の夕暮れの頃で時刻は遅くなっています――午後9時ないし10時近くでしょうか。巡礼のための宿泊所は満員になっていました。
  宿泊所の係の案内で、教会の司祭に宿を頼むことになりました。司祭は金持らしく広壮なコンドミニアムに住んでいるということです。

  だが、司祭は巡礼者の来訪を知っても、二階から玄関まで降りて来ようともしません。窓から顔を出して、宿の手配の頼みをにべもなく断りました。
  快適で瀟洒な自分の住居に薄汚い巡礼団を受け入れるつもりはないようです。
  教会の原則では、聖地への巡礼者は手厚くもてなすはず。なのに、迷惑顔を取り繕うともしません。
  その代わりに、老朽化した小学校の扉の鍵を放り投げてよこしました。廃校になった校舎に泊まれ、というのです。

  「魂の救済」よりも財テクの方が向いている司祭なのでしょう。辣腕の財テク専門家が総本山のヴァティカンに結集しているのですから、あながち彼ばかりを責められませんが。守銭奴のような強欲な司祭が集めた資金のなかから教皇庁に上納すべき教会税の学が大きいほど、司祭としての勤務評定もまた高くなるのです。
  つまり、教会組織内での昇格が速くなるのです。そうなれば、金をもたない巡礼者には冷たく、金払いのよい金持ちには温かくなるのは、人の性です。

  さて、ギュイの一行が学校に着く前に、激しい雷雨がやってきました。
  夏でも山岳部では、雷雨がくれば寒くなります。しかも、廃校舎には暖房装置がないのです。

  ところが、ようやく一行がボードや黒板を敷いて寝る場所を整えているところに、大男3人の巡礼者がやって来ました。
  彼らも、宿泊所と司祭から追い払われて来たらしいのです。
  巡礼者は相身互いということで、場所を分け合って寝場所を確保しました。

  疲労した大男3人組は、すぐに寝入ってしまいましたが、いびきがひどい。
  ピエールやクララ、ギュイたちは眠れません。しかも寒い。そこで、彼らは体を動かそうとして、ラディオの音楽に合わせて踊り始めました。
  大男たちも目を覚まして、いっしょに踊り回りました。そして、全員が体が温まり、踊り疲れて、ぐっすりと寝入ることができました。

  ここまでは、フランスの聖職者たちをめぐる話題です。

  ところが、偏見と俗念に固まった、もっとひどい聖職者の極めつきは、エスパーニャ国内にいました。
  このイヤなヤツを紹介する前に、フランス=エスパーニャ国境でのできごとを見ておきましょう。というのも、そこで、ピエールやクララたちの(人生観や兄妹弟関係の)変貌が描かれるからです。

  ピレネー山脈の峠を越えればエスパーニャです。そして、この山脈が最大の難所なのです。なにしろ標高3000メートル超える高峰が並んでいるのですから。もちろん、巡礼の峠道は谷間を抜けるのですが、それでも標高1200メートル前後にはなるでしょう。
⇒巡礼旅のコース(グーグルマップ)

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