用語に関するノート 1

アンドロイド(android)

  android はギリシア語のアンドゥル(ανδρのラテン語表記と接尾語のオイド(oid) から合成された造語。ここで、アンドゥルは「人間、人類」という意味で、オイドは「~のような存在」を意味するラテン語の接尾語。
  だから「アンドロイド」は、疑似人間、疑似人類ということで、人型ロボットとかヒト型の人工生命体を意味することになるだろうか。

  そこでついでに、たとえばギリシア神話の女神「アンドロメーダ :ανδρομέδα 」は「人間(人類、人知・運命)を支配・統御するもの(神)」という意味があるという。メーダは「支配者、統御者」の意味を持つ、メードゥスから派生した語。

  さて、ギリシア語で「人類」は ανθρωποςανδρωποςとなる。ラテン語表記では anthropus。古代ギリシアの子音文字「デルタ」は「シータ(ティータ)」と発音が似ていたので、ギリシアの地自体で入換えが起きたらしい。
  ラテン系・ゲルマン語系言語の世界への伝播のルートによって、シータやデルタは th になったり d になったりしたようだ。学術用語では th 表記が圧倒的に多いという。

  ついでに、直立原人の旧属名の「ピテカントロプス: pithec-anthropus 」は、「猿」を意味するピテクス πίθηκος と「人類」のアントゥロポゥスανθρωπος からなる合成語だ。
  また、博愛的な慈善事業をフィラントゥロピー(英語: philanthropy)というが、これはギリシア語のフィールス(愛)とアントゥロポゥスからなる合成語で、「人類愛」「人間愛」を意味する。
  そのほか、学術の1部門 anthropology (アントゥロポロジー)は「人類学」「人類論」「人間学」で、アントゥロプス+ロジックからなる合成語。

  ところで、有機的アンドロイドとまったく同じ意味のはずだが英語( human + oid )から造語した「ヒューマノイド: humanoid 」という語は、この物語では、アンドロイドよりも進化した人工生命体を意味している。ヒト以外の動物を模した生命体は「アニマロイド: animaloid 」と呼ばれている。