用語に関するノート 1

易姓革命

 古代中国では、帝国を支配する王朝家門は、自らの支配権や最優位を「天命を受けている」という論理によって正統化しようとした。
 そして、徳性や権威を喪失して帝国が没落したり、支配する家門が交替することは「天命」の変遷として意味づけられていた。天命とは、天の意思=法則の表現であって、天(宇宙の摂理)が定めた「人の世の秩序やその動き」である。
 古い支配者は天命から見放されたことによって権威を失ったものとされた。逆に、新たな支配者は、新たな天命を授かったことを示すことで覇権を正統化することになる。
 
 ところで、「易姓」とは家門の名称すなわち姓が変わることを意味する。つまり最優位に立ち帝国を支配する王朝家門が入れ替わることを意味する
 たとえば、秦が没落して覇権闘争のなかから漢が勃興するというように。
 また、革命とは「天命があらたまる」ことを意味する。
 こうして、易姓革命とは、それまで帝国を支配していた家門が天命を失い没落し、新たに天命を得た新たな家門が支配者=帝王として君臨するようになるレジームの構造転換を意味することになる。