用語に関するノート

ナウシカの世界の地表環境

フィクションの物語の状況設定には無理がつきものだ。それをあげつらってみても、ナンセンスだろう。
けれども、ここで「ナウシカの世界」の地表環境の設定について少し触れておこう。

その世界では、きわめて有毒な汚染物質が濃縮されいている海があるという。
地表でも地中でも熱変動があるから、また大気や液体に溶けている物質の濃度の差もあるから、気体と液体には必ず対流や循環運動が生じる。

ところが、ナウシカの世界では、海水に溶けている物質が蒸発=気化して雲となり、やがて地表に降り注ぎ、ふたたび海洋に流れ込むという大気や水・液体の循環がないようになっている。
というのも、「風の谷」では海からの微風を利用して、内陸部からくる汚染された空気の流れを押しとどめて、生存環境を守っているからだ。海風には汚染物質は含まれないということになる。
雨や雪も降らないのだろう。

もしそうなら、風の谷が飲料用に汲みあげている深層地下水脈もないだろう。水の循環がないのであれば、まもなく地下水脈も枯渇するだろうから。

こんな意味のないここで詭弁をふるうのは、
かつて、いや今でも、核兵器開発や原子力発電(核エネルギー発電)を推し進めているエリートは、こういうフィクションのような環境設定を「建前」として標榜している事態を見ているからだ。

地表環境の汚染はごく一部であっても、しかも持続・累積すれば、やがて必然的に全地球規模での汚染や環境破壊につながっていくという科学的知見を、知っていながら事実上無視しているのだ。。