用語に関するノート 1

タイフーン級潜水艦

「タイフーン級」とは、ソ連潜水艦にNATOがつけたコードネイムで、艦の大きさや仕様を意味する。
旧ソ連海軍では、設計番号941号、 「アクーラ型」設計の「戦略任務重 ミサイル潜水巡洋艦」と呼ばれていた。
もともとは「重ミサイル巡洋潜水艦」と呼ばれていたが、1977年以降は「重ミサイル潜水巡洋艦」と呼ばれたという。
重ミサイルとは、射程が数千キロメートル以上で、重量が数十トンを超えるミサイルのことらしい。
ソ連のミサイルは、電子制御システムの小型化できていないので、恐ろしく重厚長大になってしまうという欠陥があった。

941号設計は、ソ連ではロシア語の「鮫」を意味する「アクーラ」とい う設計暗号で呼ばれたという。
この型は、約9,000キロメートルの射程距離を持つ長射程で、重量が100トンにもなる重ミサイルR-39、または巡航ミサイルを搭載するために開発された超大型潜水艦。
941号設計の潜水艦は、水中排水量が48,000tに達する、超弩級戦艦にも匹敵する超巨大潜水艦となった。
それはまた、軍事財政の巨大化を引き起こし、国家財政の破綻の一因となった。そのため、ソ連崩壊とともに、巨大潜水艦の時代は終焉した。

ところで、ソ連では「タイフーン」は本来、潜水艦ではなくそれに搭載されるミサイルR- 39のニックネームだったらしい。それがソ連当局による発表めでの経緯のなかで、「原潜タイフーン」と誤解されたという。
NATOでは、ソ連当局の発表に沿ってコードネイムをつけたものと思われる。

この型の潜水艦の標準仕様は、
水中排水量48,000トン。全長172.8メートル、全幅23.3メートル。
水上速力15ノット、水中速力27ノット、潜航深度500メートル。乗員160名。
兵装 : R-39潜水艦発射弾道ミサイル×20基/ 533mm魚雷発射管×6門 /対潜水艦ミサイル等を22本搭載可能/「イグラ-1」自衛用対空ミサ イル×8発など