1080年前後の地中海ヨーロッパ

  この絵地図は、11世紀末頃の地中海ヨーロッパの状況を示す。
  西フランク王国北部から地中海に遠征してきたノルマン族の騎士団は、軍船を巧みに操る傭兵として活動していたが、1051年頃に南イタリアとシチリアを征服した。そこで騎士たちは領主となり諸侯国を形成し、騎士団長のロベール・ジスカールが諸侯同盟の盟主(ノルマン公)として君臨した。
  ノルマン公領を拠点として騎士団は、ビザンツ帝国への侵入を試み、アドリア海、エーゲ海、バルカン半島に遠征し、やがてビザンツ皇帝の支援要請に応じたヴェネツィアと争うようになった。1085年、ジスカールはヴェネツィアの艦隊と戦い斃死した。
  12世紀には、シチリア伯ロジェロが、ノルマン騎士団の盟主となって南イタリア(ナ―ポリ領)とシチリア島を支配することになり、1130年にシチリア=ナ―ポリ二重王国を形成することになった。
  他方でこの間、ヴェネツィアはビザンツ帝国の貿易拠点各地に勢力を広げながら、とりわけアドリア海ではイストゥリア領を支配し、ダルマティア方面に進出しようとしていた。