ヨーロッパ主要地方のラテン名

  この研究では、ヨーロッパでフランスやドイツなどの近代諸国民国家が形成されるはるか以前の時代を扱うことになる。すると、場所の地名の表記をどうするかがややこしい問題となる。フランスという「国」がない時代にフランスという場所があるのは変だ。ありえなかったのに・・・というように。
  まあどうでもいいことだといえば、それまでだが、通常は「イングランド」という地名表記がある場合には、「今日のイングランドに当たる地方」という文脈で用いていると理解していただきたい。
  それでも、こだわる必要がある場合には、地名についてはラテン名表記を用いることが多くなるので、ヨーロッパ主要な諸地方のラテン名凡例を簡単に図示することにした。
  ラテン名は、本来はローマ帝国末期までにローマ人たちが進出ないし征服した土地につけられた名称だが、帝国崩壊後、ローマ的素養・ラテン語の素養を備えた中世の知識人たちによってつけられた地名も加えてある。
  これにしたがった地名用法を例示すると、フランス⇒ガリア、ドイツ・中央ヨーロッパ⇒ゲルマニア、エスパーニャ(スペイン)⇒ヒスパニアなどとなる。なお、アウストゥリアやフンガリアなどは通俗的なわかりやすさのために、ラテン名の英語読みオーストリア、ハンガリアと表記する。