奇跡のシンフォニー 目次
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音楽の天才児

  エヴァンは楽譜を見てピアノを演奏する方法も理解した。そして、音楽の書法、つまり楽譜の規則や書き方も理解したのだ。
  ももなく彼は、頭のなかに響いている音楽を表現するために、楽譜をつくり始めた。何しろ、彼のなかには美しいメロディやリズムや和音が満ちていて、表現の場や形式を求めていたのだ。音楽の表現法、書法を知ったエヴァンは、心のなかに湧き上がる美しい音響を形にしていった。
  エヴァンは、部屋中の紙に楽譜(五線と音譜)を描いていった。

  少女が学校から帰ると、部屋中に楽譜が所狭しとひしめいていた。
  彼女は「すごい、前に習ったモーツァルトのような音楽の天才児が現れたわ!」と感激して、司祭を呼びにいった。聖歌隊を指導・育成してきた司祭は、たちどころにエヴァンの才能を認めた。
  司祭は、エヴァンをジュリアード音楽院に推薦して(作曲科に)入学させた。彼は母親と同じ学校で音楽を学ぶことになった。

  音楽院に入ると、正規に音楽の歴史や理論、楽譜の書法や音階や和音の構造などを学び、またたくまに理解していった。そして、授業時間中に習ったばかりの書法で、交響曲の作曲を始めた。その楽譜を見た教授は、教授会に諮って、エヴァンに作曲家・指揮者としての英才教育を施すことにした。
  エヴァンが作曲したシンフォニーは教授会の高い評価を受けて、夏にセントラルパークで開催されるニュウヨークフィルによる公開演奏会での演目になった。その演奏会には、ライラもソリストとしてチェロ協奏曲を演奏することになっていた。

運命の糸

  一方、チェリストとして音楽界で名声を高めていたライラは、臨終の床で父親から、「死産」と告げていた男の子が、じつは生きていて孤児院に預けられたことを聞き、音楽活動を一時休止し、必死になってエヴァンと名付けられた孤児の行方を捜し始めた。ジェフリーとも知遇を得たことで、エヴァンらしい少年がニュウヨークにいたことも知った。
  だが、孤児院から逃げ出したエヴァンの行方は杳として知れなかった。

  そこで、ライラはチェロ演奏者としての活動を再開すれば、音楽の響きが愛児を呼び寄せるかもしれないと考えて、しばらく停止していた演奏活動を再開することにしたのだ。そういう経緯で、ライラはセントラルパークでの演奏会でソリストを務めることにしたのだ。
  運命の糸がつながり、母子の再会がやって来ようとしているかに見えた。

  ところが、演奏会直前になって、エヴァンはウィザードに見つかって、ストリートチルドレンの世界に引き戻されてしまった。そんなとき、偶然、街頭で有名になったロックミュージシャンのルイスと出会ったもちろん、ルイスはエヴァンの父親だ。ルイスは、わが子とも知らず、エヴァンに「絶対に音楽を諦めてはいけない」と諭した。
  エヴァンはルイスの忠告を忘れずに、ついにウィザードから逃げ出して、セントラルパークの演奏会に現れた。
  そこで、見事に自分がつくった楽曲の指揮をした。

  ライラがそんなエヴァンを見つけた。ルイスも街角であった少年の演奏会と聞いて、会場に駆けつけてライラと再会した。彼女の表情から、指揮をする少年が、2人の愛児だと知った。
  こんなファンタジーはありえないが、しかし美しい物語である。音楽ファンは必見!
  日本でも大きな評判となった。

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