刑事フランク・リーヴァ 目次
フランス風「マフィア対警察」の物語
あらすじ
栄光と苦痛の過去
パリとシチリア
地中海の軛
マフィアの内部抗争の展開
よみがえる過去の疼き
終わらない殺戮戦
権力者の屈折した想い
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終わらない殺戮戦

  一連の殺人事件をめぐって警察と対峙することになったパリのマフィア組織だが、首領たちの暗殺の後も暴力の鎮静化には向かわずに、自滅的ともいえるほどの暴力に訴えるようになった。
  パリ市内の麻薬密売組織の小ボスたちが次々に殺された。新たなマフィアの力関係に沿って密売シンディケイトの再編成するためだろうか。
  そして、あろうことか、逮捕され有罪判決を受けて刑務所に向かうマフィアの中間幹部を乗せた護送車が襲われ、囚人たちを奪われるという事件まで発生した。

  一連の襲撃・暴力事件の首謀者としての容疑がマクシームに向けられた。そのマクシームは、マフィアどうしの殺し合いと警察による追及を避けるために、ルノー・ベルソンだけを連れて郊外の別荘に隠れることになった。

  一方、フランクの単独行の捜査活動が違法なものになりそうだと懸念したグザビエーは、エルゾーグ警視(署長)を監視役としてフランクに貼りつけた。
  エルゾーグはパリ警視庁のなかでも飛び抜けた能力と実績を認められた女性のエリートだった。そして、近寄りがたいほどの美貌の持ち主だった。が、ひたすらキャリアの上昇を志向してきたので、家庭も持たず、ステディな恋人もいなかった。
  というわけで、長い間孤独を感じてきた。ところが、フランクと行動をともにするうちに、まもなくフランクと恋に落ちることになった。

■生きていたルイ 権力の亡者・亡霊■
  さて、爆殺されたと思われていたルイ・ロッジャは、じつはシチリアで生き延びていた。自分の死を偽装して警察による追及を逃れる一方で、ファミリーへの支配力を回復しようともくろんでいたのだ。そのために、ファミリーの中枢に打ち込んだ楔――トロイの木馬――が、ルノー・ベルソンだった。
  してみれば、ノルベールの殺害の首謀者はルイであり、仕掛け人はルノーかもしれない。


  一方、警察の執拗な追及を受けているマクシームは、窮地を逃れるため力を借りるために、ルノーの仲介でルイのもとに身を寄せた。そして、ルイの庇護のもとにおさまると、「今度は俺がフランク・リーヴァを追い詰めて殺してやる」と息巻いた。気が小さくすぐに怖気づくくせに、マクシームは強がりだけは一人前のようだ。
  しかしルイは、偉そうに振る舞うのが好きで見せかけの権勢を追いかけるだけで、ファミリー運営の慎重な配慮や戦略眼を持ち合わせていないマクシームをすっかり見限っていた。こんな男にこのままファミリーの総帥の地位に置いておくわけにはいかないと考えていた。
  というわけで、配下に命じて、マクシームをパリに送り届けるために乗せたヘリコプターからマクシームを突き落して殺害させてしまった。
  そのあとルイは、独り残されたルノー・ベルソンに何やら策謀を授けて、パリに送り返した。

■謀略の奥に潜む者■
  ところで、フランク・リーヴァはベルソンからの呼び出しを受けて、シチリアの別荘に赴いた。
  そこには、死んだはずのルイがいた。ルイは、フランクの今後の身の安全と引き換えに、ロッジャ・ファミリーと警察との妥協を提案した。ファミリーに対する捜査を打ち切るようにということだ。
  とはいえフランクとしては、ルイが生きていたことからすると、最近の一連のマフィアの内部抗争は裏で、ロッジャ・ファミリーとパリの裏社会での支配権を奪還しようとするルイが糸を引いていたのだ、と判断した。だから、フランクは、ルイに返答しないまま、パリに帰還した。

  ところが、まもなく、ルイも暗殺されてしまった。しかも、彼の身体を撃ち抜いた銃は、フランクが使用していたものと同じだった。フランクはルイの殺害の容疑をかけられることになった。
  だが、フランクには確固としたアリバイがあった。
  ルイが殺されたその日、その時間、彼はエルゾーグといっしょにいたのだ。というわけで、フランクを陥れようとした罠は不発に終わった。だが、フランクは、一連の暗殺事件の背後には警察関係者が絡んでいるのではないかという疑いを深めた。
  というのも、フランクの動きを詳しく知っていて、それに合わせて罠を仕かけてきたからだ。

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