さて、ニューヨークに戻ったマイケルは、コルレオーネ金融グループをマフィアのシンディケイトから完全に分離しようとしました。
そのため、裏世界のビズネスをすべてほかのファミリーに分割・分与し、このビズネスからあがった利益リザーヴを各ファミリーのボスに分配しようとします。
つまるところ、シンディケイト、つまりファミリーの提携関係の解消・解散です。
しかし、シンディケイトの幹部会を構成するボスたちは、コルレオーネ金融グループを闇資金のローンダリングに利用させてもらおうと企図していたので、コルレオーネの離脱に反対していました。
状況によっては、大きな悶着を引き起こしそうな気配でした。
そのとき、長老のドン・アルトベロがマイケルとボスたちを仲裁する形で、シンディケイトのメンバー・ファミリーの集会の開催を提案します。
そのため、コルレオーネ・ファミリーが肝煎りになって、シンディケイトの解散・利益分配の会議を招集しました。
しかし会議を始めようとする矢先、ジョーイ・ザザが会議場に現れ、利益の分配を求めます。
彼は、この事業に投資していませんが、このシンディケイトの警護役・汚れ役(つまり暴力装置)として動きながら、急速に成り上がってきた新興ファミリーのボスです。
つまり、脅迫や邪魔者の殺害というサーヴィスを提供した見返りを要求したわけです。
彼は、このシンディケイトの会員ではありませんから、不当な要求でした。
そもそも、彼には代償として、コルレオーネ・ファミリーの一番利益の上がる「事業分野」と縄張りを分与してあったのですから。
ザザの強圧的な態度にマイケルや参加者は腹を立て、ザザは怒りを爆発させたふりをして会場を出ていきます。
それをなだめようと、アルトベロも部屋を出てザザを追いかけました。
会議が平穏のうちに終わり、パーティが開始されたそのとき、ヘリコプターに乗った殺し屋集団が部屋に向けて大型マシンガンをぶっ放します。
銃弾の雨は天井を突き破り、壁を突き抜けて、参加者の大半を撃ち殺し、あるいは重傷を負わせました。
マイケルは、ヴィンセントの護衛と誘導でかろうじて無事に脱出できました。
この襲撃がザザの差し金であることは明白でした。ここに、コルレオーネとザザとの権力闘争が始まりました。
ニューヨーク・ダウンタウンのイタリア系居住区がイースター祭に沸き返るさなか、ヴィンセントは騎馬警官に扮装してジョーイ・ザザを射殺してしまいます。
しかしマイケルは、主要なファミリーの領袖の大半を葬り去った、この大がかりで用意周到な襲撃の背後には、なにか大きな権力がはたらいていると見抜きます。
そこで、激高するヴィンセントに危機や抗争にさいして冷静な判断力と戦略眼、戦術眼をもつように諭します。
そうです。この背後にある大物の力とは、ドン・アルトベロであり、ヴァティカン銀行の総裁、キルディ大司教でした。
そして、2人を操るような策謀の主は、イタリア政財界に闇の影響力をおよぼす右翼フィクサーである怪人物、ルケージ(事件ではジェッリと思しき人物)でした。
彼らはイタリア本土とシチリア、さらにはアメリカを結んで、コルレオーネ・グループに対する包囲網を築き上げていきます。
謀略網の焦点は、ヴァティカンとシチリアにあります。
おりしも、コルレオーネ・グループのかつての顧問弁護士(consglielle)の子息、アンドリュウ・ヘイゲンは新進気鋭の司祭として教皇庁に勤務することになりました。
そして、アンソニーのパレルモ歌劇場でのデビューの日が近づいてきました。