ブレードランナー 目次
原題と原作
見どころとテーマ
あらすじ
ヒューマノイド「レプリカント」
造物主と被造物
プロメテウスの火
従属し虐げられた者の反乱
近未来都市、ロスアンジェルス
任務への復帰
レプリカントの美女
レプリカントと人間との恋愛
レプリカントの切望
驚きの状況設定
造物主との対面
レプリカントの悲哀
最後の対決
レイチェルとの逃避行
人は生命を理解できるか

6 最後の対決

  タイレル社での殺戮事件は警察に通報され、デッカードにも捜査指示が送られてきた。デッカードは、前後の事情から、レプリカント2人はセヴァスチャンのコンドミニアムに潜伏しているとにらんだ。
  デッカードはセヴァスチャンの部屋に入り、ロイとプリスを探し回った。プリスは、セヴァスチャンがつくり出した多数の奇妙なアンドロイドや人形のなかに混じるように隠れていた。そして、背後からデッカードを襲った。
  格闘の末、デッカードはやっとのことでプリスを倒した。

  プリスとの格闘で消耗し傷ついたデッカードは、半ば逃げ腰になりながらロイを探した。だが、いまや相手を探し追い詰め、闘争を仕掛けるのは、レプリカントの番だった。
  ロイに弄ばれるように攻撃され、デッカードは銃を失った。
  闘いの場はコンドミニアム屋上に移った。
  そこでもデッカードは打ちのめされて、這いずり回逃げ回った。屋上から落下しそうになりながら、やっとのことで屋上の端の桟に取りついた。
  桟をつかんで屋上によじ登ろうとしたそのとき、ロイが屋上の縁に立ち、デッカードを見下ろす形になった。絶体絶命か。
  だが、ロイはデッカードを追い落とそうとはせずに、片手でロイを?んで屋上に引き上げた。デッカードはくず折れるように仰向けに倒れ込んだ。もはや反撃をあきらめたようだ。
  彼にのしかかるように迫ったロイだが、攻撃する姿勢は見せず、片手に鳩を乗せていた。鳩はロイに脅威を感じていないようだ。ロイは、デッカードに問いかけた。


  「お前には、遥か彼方の惑星で過酷な戦闘に明け暮れているレプリカントとしての生活を想像できるか。自分たちレプリカントの感情、苦悩が理解できるか」と。
  そのときロイの身体細胞組織は、すでに死滅の過程に入っていた。衰弱したロイは、いと惜しむようにやさしく鳩を逃がした。
  ロイは麻痺を食い止めようとしてか片腕の傷をつけて刺激を与えた。が、麻痺は全身を覆い尽くし、見る間に生体機能は停止していった。ついに、中枢神経が停止し、ロイの身体は死滅した。
  ロイの顔は深い知性と悲しみを帯びた表情だった。

  デッカードは、戦いに負けたが生き残った。結果として任務は遂行した。だが、これが最後の仕事だった。
  ブレイドランナーはもう辞めた。
  そう心を固めたデッカードは、自分の住居に戻っていった。

6 レイチェルとの逃避行

  デッカードは、部屋で待っていたレイチェルとともに逃げ出し、ともに暮らすことにした。部屋の扉をそっと開け、監視の目がないことを確認すると、2人はホバーカーに向かった。
  ところが、デッカードは扉の外の回廊の床に「折り紙」を見つけた。折り紙は、警視ブライアントがデッカードに相棒兼監視役として貼り付けた相棒役の刑事の趣味、手慰みだった。
  彼は、デッカードがレイチェルを匿っていることを知っていて、この部屋の前にも監視に来たのだった。だが彼は、ネクサス6型レプリカントの寿命が4年しかないと知っていたので、彼女とデッカードとの逃避行を大目に見ることにしたのだ。

  けれどもレイチェルは、タイレル博士最期の傑作となったネクサス6型の「最新改良型」で、寿命は数十年に伸びていた。タイレルが死亡した今、それを知る者は、デッカード以外にはいなかった。
  デッカードは、レプリカントを伴侶にした後半生を生きるつもりだった。

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