そんな修道女たちのコーラスの評判とか盛大になったミサの様子をオハラ司教が知った。司教は、定期的にこの尼僧院を訪れ客演の説教をしたり運営状態を見守ったりしている――サンフランシスコのローマ教会司教区の責任者――のだが、尼僧院の大いなる変革に驚き、絶賛した。そして、尼僧たちは近隣社会に出ていって人びとと触れい合い、奉仕すべきだという、従来から考えていた方針を打ち出した。
修道女たちは修道院の周囲を毎日掃除したり、バザーを企画したり、さまざまな慈善・奉仕活動を展開し始めた。周囲の人びととの交流は、たちかにリスクをともなうけれども、日常的に修道院にやって来る人びとによって見守られてもいるので、修道院長が危惧したような危険な事態は起きなかった。
そんね状況の変化を見た修道院長は、自分は保守的にすぎて、もはやこの修道院の指導監督には適任ではないと考え、修道院長を退き、片田舎の修道院に転属しようと考えた。その思いを知ったデロリスは修道院長の転属に反対した。その代わりに、デロリスが別のところに異動するとも言い張った。
とかくする間に、マフィアと癒着しているリノ警察の刑事が、証人保護プログラムによってデロリスが聖カタリナ修道院で保護されている事実をつかんで、ヴィンスに通報したため、マフィアにデロリスの居所が知られてしまった。そして、マフィアはデロリスを拉致してリノに連れ戻してしまった。
デロリスの危機を知った修道院長は、それまでの内向きの姿勢を投げ捨てて、聖歌隊の修道女たちを引き連れて「悪徳の都」リノに乗り込みデロリスを救出する作戦に打って出た。
一方、ボスからデロリス殺害の命令を受けたマフィア・ファミリーのメンバーは、イタリア系のローマカトリック教徒なので、尼僧服のデロリス殺害に二の足を踏んでいた。その隙をついてデロリスは逃げ出し、修道女たちに保護された。そして一緒に逃げだす。
ギャングたちは逃げたデロリスを捕えようとして、逃げ回る尼僧たちを追って必死にカジノ街を駆け回るしかなくなった。「鬼ごっこ」のような騒動が持ち上がった。
ネオンサインのディスプレイなど華美な装飾で眩しいほどのホテルや賭博場のなかを、黒衣の尼僧たちが動きまわることになった。カード賭博のテイブルやらやスロットマシンの列やらの間を尼僧たちが駆け回る場面は、何とも滑稽だ。
そんなこんなの騒動を経たところに、デロリスの保護担当の刑事がやってきてマフィアをやっつけて、デロリスと尼僧たちの安全は確保され、デロリスは尼僧たちと修道院長の求めに応じて聖カタリナ修道院に復帰して、聖歌隊の指導と演出を続けることになった。