ゴッドファーザーVへのプロローグ
ヴァティカン・スキャンダルと「神の銀行家」の死
神の銀行家たち  目次
事件と映画作品について
あらすじ
銀行家の死、そして…
ヴァティカンとの…
神の銀行家たち
謀略の世界的センター
泡のような急膨張
闇の名士たち
ヨーロッパの地政学とイタリア
冷戦構造と謀略、そして腐敗
跳ね上がりの策謀家たち
バブル経営の崩壊
捨て駒の末路
ヴァティカン内部の暗闘
教皇の暗殺!?
マフィアの犯罪か
冷戦の「茶番劇」か
それともイタリアの悲劇か
イタリアの権力構造の磁場

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あらすじ

  1982年6月、イタリア人銀行家、ロベルト・カルヴィがシティ・オヴ・ロンドンの橋で縊死してるのが発見された。

  彼は、アンブロジアーノ銀行の頭取で、イタリア当局から国際金融犯罪の容疑者として追われていた。
  カルヴィは、教皇庁の金融機関IORの総裁マルチンクスと結託して、違法な国際的金融取引きを組織化していたと見られる。さらに、カルヴィと結託した人物たちは、イタリア政財界での陰謀やテロを企てる「地下組織」P2と結びついていた。P2とは「プロパガンダ2」ということで、「影の戦線」、表向きの権力の裏で暗躍する第2の権力というような自意識が反映された名称ということになろうか。
  P2は非正規の怪しげな「フリーメイスン」組織だったようだ。

  この映画作品は、カルヴィの死体発見とともに、イタリアとヨーロッパを揺るがす大スキャンダルになったこの事件の背景と構図を探索し描き出そうとする。現実の犯罪の物語。


  一連の事件は、イタリアの政財界の有力者たち、すなわち首相府や議会、軍、国営企業の要職者、財界人、キリスト教民主党DC、社会党PSI、ヴァティカン政庁(教皇庁)、マフィア、そしてP2ロッジと呼ばれるフリーメイスン組織、さらにアメリカ政府機関(CIAとペンタゴンの幹部)、アラブの石油富豪の資産運用などが複雑に絡んだ事件・謀略だといわれている。
  なかでも教皇庁の金融組織の最高首脳、マルチンクス大司教は、イタリアを拠点にヨーロッパ全域、さらには南アメリカなど世界中の反社会主義・反左翼運動を熱烈に支援するために世界各地に資金援助のネットワークを組織していた。
  その資金ルートの多くは「闇のルート」になっていた。

  そのために、マルチンクスは、イタリアの政治状況やマフィアの権力を巧みに利用していた。
  マルチンクスは、冷戦構造のものとで教皇庁の右翼保守派の世界戦略を推し進めるために、世界各地に秘密裏に資金を流すことができる闇のルートと資金源を求めていた。
  彼は、闇の送金ルートを組織運営していたが今は失脚しかけている、それまでの協力者を見殺しにして、次の提携相手(というよりも都合のいい手足)としてロベルト・カルヴィ=アンブロジアーノ銀行を選んだ。
  庇護者を求めていたカルヴィは、マルチンクスにすがりついた。教皇庁の権威=後ろ盾を背景にして、カルヴィが経営するアンブロジアーノは急速に膨張し、ヨーロッパでも最大級の国際的金融コンツェルンに成り上がっていった。

  成り上がり者のロベルト・カルヴィは銀行内や財界での地位を高め保持するために、さらに権威や影響力を吹聴誇示する危険人物たちに接近していった。「後ろ盾」を得るためだ。そして、怪しげな(不正規の)フリーメイスン組織「P2」にも接近していった。
  だが、彼らは、カルヴィに「庇護」と引き換えに資金の融通(返済無期限)を要求してきた。

  だが、アンブロジアーノ銀行の金融バブルがはじけ、金融スキャンダルが発覚すると、カルヴィは闇の勢力の邪魔になり、失踪し、やがてロンドンで絞殺死体で発見された。

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