ゴッドファーザーV 目次
あらすじ
発端 ヴァティカンによる叙勲
謀略の構図―ヴァティカン
謀略の構図―ニューヨーク
陰謀の背後に
謀略、そして反撃
散開し交差する暗殺者たち
マイケルの「罪業の報い」
修正された結末
カルヴィ事件との関係

謀略の構図 ―ヴァティカン

  叙勲によって教皇庁との確かな絆を得たマイケルに、ヴァティカン銀行の総裁、アメリカ人のキルディ大司教(カルヴィ事件ではマルチンクスと思しき人物)が接近します。
  大司教は、ヴァティカン銀行の融資焦付きを引き起こしそうな経営危機に陥ったインターナショナル・イモビリアーレを救済するため、多額の投資を求めました。
  つまり、株式購入によって、このヨーロッパ最大規模の不動産会社の自己資本・現金資産を増加させ、信用危機を未然に防ぐためでした。
  それと引き換えに、ヨーロッパでも最も権威のある金融グループとしてのヴァティカン・コンツェルンのなかに加えられるというのです。

コルレオーネ財団が、国際的に高いブランド性を備えた、合法的な金融グループとしての地位を得るためには、じつにありがたい申し出です。マイケルはこの投資話に飛びつきました。


  この会社は名前のとおり不動産投資会社で、実際の事件ではアンブロジアーノ・グループと思しきコンツェルンです。
  イモビリアーレは教皇庁やカトリック団体の指導を受け、ヴァァティカン銀行と特別の関係にある不動産会社です。社長のカインジック(カルヴィと思しき人物)は、キルディと肝胆相照らす関係にあるようです。
  2人の結託によって、イモビリアーレは、カトリック信徒団が経営を牛耳るヴァティカン銀行の系列グループになっているかにみえます。

  コルレオーネ・グループはイモビリアーレに数億ドルの株式投資=資金援助をして、その経営陣へのマイケルの参加を求めます。
  ところが、ローマのヴァティカン銀行の役員会(経営陣)はその要求をはねつけます。理由にあげたのは、マフィアとの関係やコルレオーネ財団の歴史の浅さでした。

  どうやら、こうした筋立てはあらかじめ仕組まれていたようです。
  イモビリアーレの債務焦げ付きは、直接にヴァティカン銀行の不良債権になるので、それをコルレオーネに肩代わりさせたうえで、ヴァティカンの金融グループへの参加は、保守派の役員会によって拒絶させるというように。

  経営陣の意向を変えられるのは教皇自身の決裁だけですが、教皇は余命いくばくもない危篤状態にありました。
  キルディはあたかもマイケルに同情するかのように装い、イモビリアーレ役員を説得できない自分の力量不足を嘆く姿勢を示します。しかし、これはキルディとカインジック、そして黒幕が企んだ筋書きどおりの流れでした。

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