ゴッドファーザー 目次
原題について
考えるテーマと見どころ
シリーズの構成
あらすじ
南部イタリアの悲劇
アメリカの移民系社会
ネイバーフッド
変容する近隣社会
現代市民としてのマイケル
NYのイタリア系移民社会
ボスの驕り
居住区のボスからマフィアへの成長
アメリカの地方分権は地方ボス支配型
マフィア組織の拡張
新世代のゴッドファーザー
ドンの帰郷と復讐
シチリア・マフィアの歴史
シチリア・マフィアとアメリカ政府との癒着
マフィア抗争とキューバ
アメリカの裏庭、キューバの悲劇
マイケルの戦略眼とファミリーの膨張
ファミリーの膨張と代償
ゴッドファーザーVへの予備知識 目次
Vへのプロローグ
神の銀行家 ヴァティカンスキャンダル
Office-Townwalkのサイト
信州まちあるき
雑学・教養ブログサイト
コーヒーものがたり
数学を楽しむ 学びの扉
英語への道案内

原題  The Godfather, The Godfather U

原題について

  「ゴッドファーザー」の意味は、名付け親、または一族の首領として絶大な権威を揮う神のごとき父。この言葉は、この映画の世界的ヒットで広く知られるようになった。
  古代からの伝統で、地中海ヨーロッパでは、新生児が生まれると、部族の首領や長老などの有力者に名付け親になってもらった。
  こうして、部族や氏族の共同体への帰属=参加を公認してもらい、部族による庇護や後見が保証され、子どもの親や家族が失われた場合に、養育・保護を受けられるようになったということらしい。

第1作 DVD パートU DVD パートV DVD

考えるテーマと見どころ:

  今回は《ゴッドファーザー》シリーズ3部作への賛歌を送ります。
  移民系社会で権力はいかにして生まれ、成長するのか。そして、ひとたび確立された権力はどのように膨張し、生き延びるために対抗するさまざまな権力と闘争するようになるのか。
  こういう問題を考えます。
  さて、波乱に富んだ歴史劇を華麗な映画作品に仕上げるなら、やはりイタリア人が最高でしょうか。
  歴史や社会を芸術として表現する多くの天才・才能を生み出したイタリア。彼らは、生まれながらにして(絵画、音楽、映像などの技巧を駆使する)すぐれた歴史家、社会史家であるかのようです。しかも、視線は鋭く冷徹です。
  このシリーズは、1つの家族・家系、組織=ファミリーの歴史を描きながら、アメリカ社会の独特な構造とその変動の歴史を鋭くドラマティックに切り取っていきます。
  その手法のみごとさ、鮮やかさには驚きます。
  なお、シリーズ第3部については、のちに述べる理由から、別個に取り上げて考察します。

シリーズの構成

  イタリア系アメリカ人、フランシス・コッポラの《ゴッドファーザー》3部作は、マフィアもの映画ですが、すぐれた歴史映画でもあります。
  この作品は、

をみごとに描き出しています。
  原作者のマリオ・プーゾがすぐれているのか。
  とにかく、1920年代から1980年代までの合州国(とイタリア南部)の社会の姿、その変貌と重ね合わせて、コルレオーネ・ファミリーの権力の発生と成長、さらなる膨張と変貌を描いています。
  現代描く手法では最初の作品が出色で、歴史を描くという点では「U」が一番すぐれていると思います。

  シリーズ総体としては、
第1作 :1940年代から50年代にかけて、コルレオーネ・ファミリーが牛耳るニューヨークのマフィア組織とその収益基盤がどんなものかを見せながら、ファミリーどうしの凄まじい暴力的闘争を描く。
パートU :ファミリーの創設者ヴィトの生い立ちと、ファミリーががどのような歴史を経てできあがってきたのか、半世紀およぶ過程を写し出しながら、それとオーヴァーラップさせる形で、ドンを引き継いだマイケルの戦いと苦悩を描く。
パートV :70年代末にファミリーの栄華と権力が頂点に達したものの、組織のあいだの抗争が国際的規模で繰り広げられる様子を追いながら、やがて一族の悲劇に見舞われたマイケル・コルレオーネの失意と悲嘆を描き、彼の手元から甥にファミリーの首領の地位が移っていく経過を物語る。
という組み立てになっています。
  この記事では、第1作とUをあつかいます。
  Vについては、別の独立した記事とします。

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