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原題について:
原題(フランス語)の意味は、「サンジャック…聖地(への旅)」というほどの意味になるでしょうか。
フランス語の「サンジャック」は、エスパーニャ語で「サンティアーゴ」、英語で「セイント・ジェイムズ」にあたります。聖人ヤ―コブのこと。
「メック」とは本来は、イスラムの聖地、メッカを意味します。ですが、ここではさしあたり「聖地」としておきます。
じつは物語では、メッカに巡礼するつもりの1人の純朴な移民系ムスリムの若者が登場して、重要な役割を演じるのです。というわけで、イスラムの聖地=メッカともかかわっているのです。すると、原題の意味は「サンジャック・・・とにかく聖地へ!」というような意味でしょうか。
見どころ:
ひたすらに歩く、長い長い巡礼の旅が続く物語。さしたる事件は起きない。
だが、巡礼の旅の参加者それぞれの心には、人生の悩みや家族のもめごと、人種・民族問題など大波小波が打ち寄せ、激しく揺れる。
サンジャックへの道は難路を選んだような巡礼の旅だという。その難路に苦しんだり、自分の人生の来し方を苦い後悔とともに振り返ったり、人生の厳しさや苦しさに悩んだり…。
要するに、自分の人生をひとたび投げ出して、自分をひたすら見つめる巡礼なのである。「巡礼の道」をひたすら遍路するという点においては、日本の巡礼遍路と同じなのだ。
その旅の主人公は、ひどく仲たがいした兄と妹、そして弟。
個性と自己主張の激しいぶつかり合い。口論=論争と対話、そして理解へ。
その意味では、まことにフランス的な物語である。
しかも、そこに交錯し合流する人びとが抱える問題は、現代フランス社会に横たわる深刻な事情を反映している。
登場人物たちの個性や人生をぶつけ合わせながら社会の断面を解剖していく、切り口の鮮やかさは素晴らしい。おおフランスなるものよ!
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