刑事ジョン・ブック 目撃者 目次
原題
見どころ
あらすじ
田園の奇妙なコミュニティ
アーミッシュ
ドイツ系移民
生活スタイル
アーミッシュもいろいろ
現代社会とアーミッシュ
「暴力の世界」の目撃
フィラデルフィア
警察組織の犯罪
アーミッシュとともに暮らす
プレインライフ
共同体と個人
ブックとレイチェル
気品ある自己抑制
アーミッシュ村の「異邦人」
鬱憤と憤怒
越えがたいギャップ
越えがたいギャップ
ブックの決意
対  決
暴力と非暴力
ラストシーン
現代アメリカとアーミッシュ
情報環境とアーミッシュ
作品理解の壁  言語文化の限界か

2つの世界

原題: Witness 1985年
  原題の意味は「目撃者、目撃証人」。
  アーミッシュ( Amish )の幼い男の子が、母親との旅の途中、フィラデルフィア駅で警察組織内部の腐敗・陰謀を背景として起きた殺人事件を目撃しました。刑事ジョン・ブックは、襲いかかる腐敗警察官たちからその子と母親を守ることになります。
  物語の舞台となるアーミッシュ村は、ドイツ西部ないしニーダーライン地方からアメリカに移民したキリスト教の一派の子孫で、現代文明や権力と距離を置いて、非暴力や平和を尊重して、農耕中心の平穏な生活を守ろうとするコミュニティの1つ。

見どころ
  アメリカ合州国にはいくつもの「移民系社会」ないしマイノリティの世界が並存しています。なかには外部の社会から距離を置いて高度の自立性を保っているコミュニティもあります。
  この作品は、すさまじい権力闘争や暴力、欲望が渦巻く「現代アメリカ文明」と、その対極に位置する平穏なアーミッシュの世界とを鋭く対比・対照して、合州国の複合的な社会と文化を描き出しています。

  旅の途中にあったアーミッシュの母子が、フィラデルフィア駅で殺人事件に遭遇。事件の捜査担当の刑事は、フィラデルフィア市警察のジョン・ブックです。
  ジョン・ブックは、若く美しい母親に思慕します。が、刑事は警察という権力装置に属し、銃を携行して日常的に暴力や犯罪に立ち向かっています。アーミッシュのコミュニティとは相容れません。
  こうして、アーミッシュの母子とフィラデルフィア市警の刑事との出会いと別れの物語が描かれます。

  ジョン・ブックに扮するハリスン・フォードの演技で一番いいのは、当惑した表情。予期しない事態や異世界の環境に出っくわしたときの困惑、どう行動するかという迷いと苦悩の表情がすばらしい。
  この作品でハリスン・フォードは、アメリカの2つの世界のはざまで迷い、自分が属する世界とは異質な世界に暮らす女性への愛で悩む役を演じ切ります。

あらすじ

  ペンシルヴェニア州にあるアーミッシュ村から、若い母親と幼い男の子が旅に出た。母親は、つい先頃、夫を亡くしたところで、親族を訪ねる旅だった。
  ところが、その旅の途中で殺人事件に遭遇する。男の子は殺人現場を目撃。事件は麻薬の横流しに絡む警察組織の腐敗を背景とするもの。
  事件の捜査担当は、フィラデルフィア市警察のジョン・ブック。

  捜査を進めるジョンは、殺人事件の背景には警察組織の腐敗・陰謀があって、母子が命を狙われていることを察知する。ジョンは、母子をアーミッシュ村に匿うことにする。
  しかし、ジョン・ブック自身も警察幹部シェイファーの策謀で、殺人の容疑者にされてしまった。
  そこで、ジョンもアーミッシュ村に隠れて捜査を続けることになった。
  村内でジョンは、現代アメリカ文明の対極にある平穏なアーミッシュの生活を体験する。やがて、彼はレイチェルを愛するようになる。

  とはいえ、日常銃を携行して犯罪や暴力に対峙するジョン・ブックとアーミッシュのレイチェルのあいだには、越え難い壁が立ちはだかっていた。
  2つの世界が折り合う場所はなかった。別れが迫ってきた。
  ところが、その別れの朝、ブックの居場所をつかんだシェイファーたち3人が武装して村にやって来た。
  一味はエリとレイチェルを人質に取り、ブックを追いつめようとした。平和な村で、暴力による対決が始まった。

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