コントラクター 目次
暗殺者の孤独
原題について
見どころ
あらすじ
暗殺――最後の任務
狂った手順
孤独な少女エミリー
コリンズの策謀
空港での対決
冤  罪
ふたたび間一髪
モールでの戦い
別れと再会
背景にある問題について
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孤独な少女エミリー

  大怪我をして足元もおぼつかないジェイムズは、テリー(偽名ウィットニー)の部屋に転がり込んで、ソファに倒れ込んだ。
  ジェイムズがウィットニーの部屋に入るところを目撃した少女がいた。名前はエミリー・デイ。彼女は、ウィットニーの知り合いだった。その部屋に見知らぬ黒人がよろよろと入り込むのを目撃した。強い好奇心がわいた。
  そこで、その部屋のいつも鍵がかけられていない窓から、猫を探す振りをして猫の名前を呼びながら忍び込んだ。侵入者に、この少女が自分の存在に気づかずに入り込んだものと思わせるためだった。してみれば、この少女は恐ろしく想像力と機転に富んでいるらしい。相手の心理を読んで、裏をかくことに巧みだ。
  部屋を探しまわった少女は、これまた偶然のような振りをして、ジェイムズを見つけた。ジェイムズは驚き、起き上がろうとして、血まみれの傷口をさらし、そのうえナイフまで落としてしまった。

  ナイフを見たエミリーはあまり驚かずに、それを拾い上げてジェイムズに返した。意外な成り行きに唖然としているジェイムズ。大怪我をした怪しげな黒人が身を隠しているのに、警戒し恐れる気配もなく、エミリーは自己紹介した。そして、けがの治療と隠遁を手助けしようと申し出た。
  エミリーはジェイムズが止めるのも聞かずに、部屋を出た。しばらしてから、当面の非常食と痛み止め薬――化膿予防の抗生物質入りか――を入れた袋を手に部屋に戻った。いやあ、よく気が回る少女だ!

  エミリーは、両親を事故で失い、今は祖母との2人暮らしだ。祖母は毎日仕事に出かけるうえに健忘症なので、適当に言い繕って学校をずっと休んでいた。ひどい心的障害を受けたため、転校してきた学校とか周囲の環境に適応できないようだ。だが、大変強い個性や自立心、想像力――嘘を言い虚構の日常を構築する能力――や機転を備えていて、小さな自分の世界を築き上げて日々を過ごしていた。
  そのなかで、やはり周囲と孤立して暮らす隣部屋の住人、ウィットニー(テリー・ウィンチェル)とは顔なじみになり、友情を築いていたらしい。テリーは、エミリーの現実を知っていたようだ。

コリンズの策謀

  テロリスト暗殺事件を受けて、スコットランドヤードは緊急の警戒捜査体制を組織した。40人近い捜査陣の指揮を執るのは、アンドリュウ・ウィンザー警視正( superintendent )。捜査班のなかには、愛娘のアネット・バラード捜査官(刑事)もいた。
  ウィンザーは、狙撃現場とタクシーの逃亡経路、地下鉄入口の残骸を綿密に検証させた。車の残骸なかにはテリーの死体があった。さらに、現場付近の監視カメラの映像記録をすべて回収させて、容疑者の容貌を割り出させた。すると、神父に扮したジェイムズ(サングラス着用)の画像が特定された。

  その頃、警視庁にアメリカ政府から協力要請が入った。派遣されてヤードを訪れたのは、司法省職員を名乗る男だった。その男はCIAの幹部ジェレミー・コリンズだった。ジェレミーはウィンザーに捜査の進捗状況に関する情報の開示を迫り、無理やり応諾させた。そして、ヤード捜査班が、タクシー車内で死んでいた男の容貌と、神父姿のジェイムズを容疑者として特定したことを知った。
  そうなると、ジェイムズの容貌が知れた以上、彼を救出を申し出て欺き、おびき出して抹殺するしかなかった。「汚点」はあくまで消し去らねばならない。
  ジェレミーは、ロンドンに「手持ちの私兵団」――暗殺ティーム――を引き連れて来ていた。

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