40分後、ジェイムズはモール建設現場にやって来た。アネット警部も現れた。ジェイムズはUSBを手渡した。その直後、建設中のビルの上階にジェレミー・コリンズたち4人が現れ、2人をめがけて発砲した。
銃弾がジェイムズのジャージーコートを貫き、彼は倒れ込んだ。CIAエイジェントたちは次にアネットを狙った。そのとき、撃たれたかに見えたジェイムズが体をひねってアネットを横倒しにし、銃弾から逃れさせた。だが彼女は倒れた拍子に銃を落とした。その銃を拾ったジェイムズは、アネットに返した。
体勢を立て直したアネットは銃を構えて反撃を始めた。ジェイムズは脱出経路を探した。
しばらく、いっしょに逃げたジェイムズだったが、やがてアネットをその場から逃がして、自らは囮になろうとした。彼は、工事中の地下鉄の引き込み線の暗闇に向かって消えた。
ジェイムズの後を追いかけたエイジェントは倒され、銃を奪われた。
仲間の(ウォーキートーキーの)返事がないということで、残りの2人も地下鉄の工事現場に降りてジェイムズを追いかけた。だが、彼らも闇のなかでジェイムズに襲撃され命を落とした。
その後、ジェイムズは別のモール建設工事場所にエイジェントを誘い出し、得意の格闘技で倒した。
建設現場から抜け出したジェイムズは、街路を歩き、車で待機していたジェレミーに姿をさらしながら、すでに完成しているモール区画に逃げ込み巨大なショッピングビルに入っていった。ジェレミーに対する誘いだった。
それを見たジェレミーは、トランクからライフルマシンガンを取り出し弾帯を肩に回して、追いかけた。2人がこのビルを最後の対決の場にしようとしているのを、アネットは見ていた。そこで、ヤードから応援に駆け付けた武装警官隊を呼び寄せた。
■最後の銃撃戦■
ジェイムズは大きなレストランの厨房に入っていった。
厨房のなかでは多くの調理師たちが立ち働いていた。ジェイムズは彼らの間を抜けて移動した。そこにマシンガンを手にして殺気立ったジェレミーが入り込んだ。険悪な雰囲気に気づいたクックたちは逃げだし始めた。
ジェレミーは、料理中の素材や盛り付けた皿や調理器具が並んだ調理台の列の向こうにジェイムズを発見した。即座にマシンガンをぶちかました。一斉に料理人たちは逃げ出した。
ジェイムズは身を低くして、調理台の陰に身を隠した。ジェレミーは、ジェイムズの隠れている場所に向けてマシンガンを撃ち続けた。隠れたままのジェイムズは、厚い鉄鍋めがけて銃弾を発射して、跳弾によってジェレミーを牽制しようとした。銃弾は狙いどおり跳ねて、ジェレミーのこめかみをかすめ、浅い傷をつけた。
焦ったジェレミーは、マシンガンを撃ち続けた。やがてマガジンを撃ちつくした。急いで弾装を取り換えようとしたが、うまくいかなかった。熱で変形したのかもしれないし、焦りで正確な装填操作ができなかったのかもしれない。
そこで、ジェレミーはマシンガンを捨てて拳銃による対決に切り換えた。そのタイミングを計っていたジェイムズは、立ち上がって拳銃でジェレミーを狙った。ジェレミーも同じ読みをしていた。2人は同時に撃ち合った。
ジェイムズの銃弾はジェレミーの心臓の近くを撃ち抜いた。
ジェレミーの銃弾は少し逸れて、ジェイムズの肩を斜めに撃ち抜いた。
ジェレミーは倒れ込み、ジェイムズは立ったまま、ジェレミーに近づいた。ジェレミーは意識を失う直前だった。
「私には、君に対する個人的な感情(憎悪)はなかったんだ。これが仕事だったんだ」とジェレミーは告げた。死の直前の言葉だった。
「わかっているさ」とジェイムズは返答した。が、ジェレミーの心臓は止まっていた。
そこに、武装警官隊を率いてアネット警部が突入してきた。
警官隊は、調理台の列のあいだに倒れてこと切れているジェレミーを発見した。だが、ジェイムズの姿はどこにもなかった。