コントラクター 目次
暗殺者の孤独
原題について
見どころ
あらすじ
暗殺――最後の任務
狂った手順
孤独な少女エミリー
コリンズの策謀
空港での対決
冤  罪
ふたたび間一髪
モールでの戦い
別れと再会
背景にある問題について
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コンドル

ふたたび間一髪

  ジェイムズは、別の逃亡ルートを模索し始めた。何よりもパスポートが必要だった。そこで、テリーが偽の身分証明やパスポート作成のために利用していた写真館を訪れた。初老の男が店主だった。
  ジェイムズは店主に、テリー・ウィンチェルの紹介で来たのだと告げた。そして、パスポートの偽造を依頼した。店主が「偽造にまる1日以上はかかる」と言うのを押し切って、大金を見せて、午後取りに来る約束で偽造依頼ををねじ込んだ。
  ところが、ジェイムズが去ると店主は警察に通報した。

  数時間後、エミリーと別れてジェイムズは店に行こうとした。すると、エミリーが、ジェイムズの制止を無視して先に歩き出した。
  「私が先に写真館に行ってみる。それで、危険がなかったら、そのまま店を出て向こうに歩くわ。でも、警官がいたら、あなたに向かって戻って来るわ」と告げて。
  そのとき、写真館の奥の部屋には武装警官隊が隠れていた。店のカウンターにはアネット警部が客になり済ましていた。路地にも、警官隊が待機していた。近くの建物の上階には狙撃隊が待ち構えていた。
  警官隊は巧妙に隠れていたので、エミリーが店に入っても気がつかなかった。そのため、彼女は、店を出てからジェイムズとは反対側に歩き始めた。
  それを見たジェイムズは写真館に向かって歩き始めた。

  ところがそのとき、エミリーの前方に慌ただしく車が走り込んできた。停車した車から飛び出してきたのは、ジェレミー・コリンズと彼の部下たちだった。過敏なエミリーは険悪な雰囲気を察知して立ちすくんだ。
  ジェレミーたちは写真館に迫った。そして、本当の身分を明かして、ヤードは手を引けと叫んだ。外交特権をちらつかせての警告だった。そのため、ヤードの警官たちは、ジェイムズが写真館の前を歩きすぎるのを、拱手傍観するしかなかった。
  罠には気づかなかったジェイムズだが、写真館の周囲に漂う殺気を感知した。そこで、道を逸れて裏通りに入り込むと姿をくらました。そのあとをCIAエイジェントたちが追いかけたが、まかれてしまった。

反撃準備

  ジェイムズはこのときの状況から、ヤードの包囲網とCIAエイジェントの動きをつかんだ。彼も元は優秀なCIAエイジェントだった。だから、こういう場合にCIAがどう振る舞うかを正確に知っていた。
  ジェレミーたちはロンドン警視庁スコットランドヤードの電話回線に盗聴ワイアーをかけているだろう。だから、ジェイムズがヤードに電話連絡を取れば、会話の内容は筒抜けになる。もちろん警察の捜査態勢も把握されている。
  ジェイムズは、この状況を利用してコリンズたちに反撃し、同時にウィンザー警視殺害の容疑を晴らす作戦を考え出した。
  ただし、コリンズー一味もCIAえり抜きのエイジェントたちだ。ジェイムズがこの戦いに勝てる可能性は半分というところだろう。だから、自分が斃された場合に備えて、テロリストと警視暗殺の事実と背景をヤードに伝える手段を講じなければならない。
  そこで、今や硬い信頼関係(友情)を結んだエミリーに働いてもらうことにした。ジェイムズは段取り計画を説明した。

  ジェイムズはアネット警部のもとに出頭することにして、コリンズ一味をおびき出し決着をつけることにした。
  今から1時間後に、ドーヴァーの海底トンネルを通過してカレーに向かう急行列車が来る。ジェイムスは、戦いに勝ち残れば、それに乗ってフランスに渡る。だが、もしジェイムズが来なければ、エミリーがこの間の経過を記録したラップトップ・コンピュータ――日本ではノート型パソコンと呼ばれるもので、膝の上ラップトップに載せて操作できるので「ラップトップ」と呼ばれる――を持って、ヤードのアネット警部のもとを訪れる。
  パソコンには事件の経緯と証拠となるコリンズとやり取りしたデータが保存されている。
  この作戦ならエミリーに危険がおよぶことはないだろうし、エミリーが他人と積極的にかかわり、手助けすることになるだろう。そしていずれにせよ、それを機にジェイムズはエミリーと別れることになる。

  ジェイムズは、モンタナ州の牧場で馬を育てていることをエミリーに告げた。牧場には野生の馬がいて、その馬はジェイムズには決してなつかない。独立心が強くて、賢くて、抜群の疾走・跳躍能力を備えた美しい馬であることを、エミリーに教えた。
  「あの馬は君とウマが合うだろう」と。
  「なんていう名前なの?」
  「ビューティさ」
  「あら、つきなみな名のね」

  ジェイムズは警視庁のアネット電話して、再開発地区のショッピングモール建設現場の1つで落ち合おうと伝えた。そこで、ジェイムズは一連の事件を経緯を記録したUSBを手渡すことにした。ジェイムズは隠れ家を出発した。
  階段を降りていくジェイムズにエミリーは尋ねた。
  「あなたの名前はなんていうの」
  「ジェイムズだ」という返事を残して、ジェイムズは去っていった。

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