絵描き: 女性、それも少女が主人公または主要人物になっている作品が多いですね。そして「飛んでる女」「天翔ける乙女」「飛翔する女性」がよく登場します。
彼女たちは、独立心が旺盛で、感受性や好奇心が豊かで、冒険心に富んでいる。想像力が豊かで知的というか聡明で。
歴史家: つまり「理想の女性像」ということですね。少なくとも、男性から見れば。これには、宮崎駿自身の「理想の女性観」が入り込んでいるのでしょうか。
制作スタッフには女性はどれくらいいるのかな。その女性たちは、主人公や主要人物となっている女性、少女たちをどんなふうに見ているのでしょうか、知りたいところです。
読書家: 一般女性からの見方、感じ方も知りたいですね。
絵描き: 宮崎作品の女性たちは概して、有能で勤勉で冒険心に富んでいますよね。
たとえば、「紅の豚」でミラノの飛行艇工房(ピッコロ)で働く女性たち。彼女らはみんなすぐれた職人、苦労や雑用をいとわないエンジニアですよね。
「魔女の宅急便」でキキがパイ焼きを手伝った「奥様」の邸の家政婦さん。もう老婆ですが、キキの箒にまたがって魔女になり、空を飛ぶ夢を見ている。女性たちはいつでも冒険を夢見ています。
読書家: そうすると、男性はどういうことになるのかな。たんなる添え物でしょうかね。
いや、主人公や主要人物の男たちは、物語では重要な狂言回しであり、女性たちの価値を認め、影に日向に女性たちをカヴァーする役どころを演じています。
絵描き: 「風の谷のナウシカ」では、アスベル、クロトワ、ユパ・・・。「魔女の宅急便」では、トンボ。みんな、その道では高い技能と素養を備えた男たちです。
「紅の豚」では、ミラノの飛行艇工房の経営者のじいさん。かわいい孫娘を、荒くれ男たちの世界に送り出す役ですね。
それと、どの作品でも悪役や敵役の男は、みんな紳士ですよね。それなりに男性の理想かもしれない。