宮崎駿が描く物語 目次
宮崎駿の作品世界を考える
どんな要素に注目するか
主人公と登場人物@
主人公と登場人物A
風景や背景の描き方@
風景や背景の描き方A
風景や背景の描き方B
歴史的・社会的状況の設定
物語やできごと@
物語やできごとA
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風景や背景の描き方 A

歴史家: 私の印象に一番残っているのは、「宅急便」でキキが移り住むことになった都市の街並みの美しさですね。
  その町には、海に突き出た岬と港湾があり、陸の少し奥には森林と山岳がある。
  そして、キキが配達の仕事のために空を飛ぶときに見る町の景観。それは、北イタリアや南ドイツの古くからの伝統をもつ小さな都市、たとえば南ドイツのヴュルツブルクやローテンブルクといった趣があります。

読書家: これらの町は、日本人の観光向けに「ロマンティック街道」と呼ばれています。
  およそ16世紀くらいからの田園に囲まれた美しい都市で、赤い屋根瓦とか木製の柱が見える白い壁とか、1つの歴史のある街並みが保存されている。

絵描き: そして、教会や聖堂などの尖塔が遠くから見えるような風景ですね。
  まあ、地中海沿岸にも、白い壁に赤褐色の屋根、という感じの家屋が多いのですよね。

読書家: そうです。鉄分が多い粘土で焼いた瓦。そして石灰質を多く含んだ漆喰の壁。プロヴァンスやイタリアに多い建築ですね。

絵描き: 「紅の豚」でポルコが飛行艇を修理するためにミラノへ向けて飛ぶシーンがありますね。あのいくつかのシーンが大変美しい。
  その日は上空は厚い雲に覆われていて、ところどころ雲の隙間から斜めに陽光が射し込んでいる。
  斜めに走る光の帯があって、この光に照らされた海面、暗い海面のそこだけ陽射しを受けて波頭が白く輝いている。この光景は光の変化、陰影の描き方としては秀逸です。
  音が聞こえない、穏やかなシーン。なぜだか、心に響きました。

読書家: 「宅急便」にこういう場面がありますね。
  夜中に修行の旅に飛び立ったキキが、いきなり襲ってきた雷雨を避けるために貨物列車に飛び込みます。雨宿りしたこの列車で夜を明かし、翌朝すっきり晴れた外の田園風景を眺めるときの、その風景。それが私のおススメです。

  力強い朝の光を受けて輝く樹木と草原、高速で近づき、また走り去りながら見える風景、変化する風景。
 それは光を受ける角度の変化であり、目まぐるしく変わる光景、そして光と影の変化。これはいいですね。

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