宮崎駿が描く物語 目次
宮崎駿の作品世界を考える
どんな要素に注目するか
主人公と登場人物@
主人公と登場人物A
風景や背景の描き方@
風景や背景の描き方A
風景や背景の描き方B
歴史的・社会的状況の設定
物語やできごと@
物語やできごとA
しゃれた会話シーン
アニメ作品と原作
ナウシカの世界
 

風景や背景の描き方 @

読書家: では、作品に出てくる風景、光景、背景といったものについて話してください。背景には、状況設定や時代背景などを含めることにします。

絵描き: 風景の描き方がとてもていねいで美しい。
  とくに「となりのトトロ」では、1950年代の日本の農村風景、田園風景が背景になっています。それは、どれも涙が出るくらい懐かしいし、美しい。私自身の子どもの頃の風景で、いわば心のふるさとですね。

歴史家: つまり、消えゆく風景だ。そのほとんどは、取り戻そうと思っても、取り戻せない。
  たしかに私たちは物質的に豊かになった。
  貧しい時代に戻りたくはないけれども、それと引き換えに失ったもの、代償の大きさを感じますね。


読書家: 宮崎駿は、そういうことを強調したかったのだろうか。トトロがいてもおかしくない風景や時代、素朴な人びとを。そういう、おそらくは、消え去ってしまった大事なものを。

絵描き: さて、絵の美しさ、技巧という点では私としては、「魔女の宅急便」と「紅の豚」が印象的です。
  光景という点では、樹林帯や田園風景、空を飛びながら鳥瞰した光景、そしてこれらすべてに関連して光の変化、つまり光の射し込みや明暗の変化なんかという項目に区分できるのではないか。

  「トトロ」をはじめ草原が出てくる場面で、草原を渡る風の動きが白く輝く草の葉先の面が波を打つように移動していく動きで表現されている。明るく白っぽい緑色が深い緑色を押しのけて広がっていく動きが見事です。

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