宮崎駿が描く物語 目次
宮崎駿の作品世界を考える
どんな要素に注目するか
主人公と登場人物@
主人公と登場人物A
風景や背景の描き方@
風景や背景の描き方A
風景や背景の描き方B
歴史的・社会的状況の設定
物語やできごと@
物語やできごとA
しゃれた会話シーン
アニメ作品と原作
ナウシカの世界

風景や背景の描き方 B

歴史家: 光の効果というなら、「紅の豚」のシーンで、官憲の包囲網を突破してミラノの工房からアドリア海に向けて飛ぶところがありましたね。
  その場面で、戦闘艇(飛行艇)に乗るフィオの目から見た光景で、戦闘艇の向きが変わり、陽光の向きが変わってポルコのゴーグルがまぶしく反射して輝くシーン。あれはよかった。
  そして、地中海沿岸の風景、地中海性気候の乾燥した石灰岩地形がよく描かれていました。

絵描き: あの逃走飛行ルートはどこを通ったのですかね。アドリア海に出るルートでポルコたちはアドリア海に出たんですよね。

歴史家: イタリア空軍はミラノから最短距離でリグリア海に出るルートを押さえたのか、あるいはポー河沿いにヴェネツィアに出る空路を封鎖したのか。
  そうすると、ポルコたちはラヴェンナに回ったのか、あるいはダルマティアやイストリアまで陸沿いに飛んで海に出たのか。

絵描き: いずれにしろ、きれいな風景でした。
  もう1つ、「ラピュタ」でパズーが空賊たちといっしょにシータを救出するために故郷を旅立つシーン。
  あのシーンには、ある種の深い心情が込められていた。だから、いっそう美しかったですな。
  故郷を離れて遠い世界に旅立つ若者が、離れゆくふるさとを眺める気持ち…
  未来への希望、冒険心、好奇心といっしょに故郷や父母や友人たちと訣別していくときの、一抹の寂しさと不安が入り混じった気持ち。
  そういうものを想起するせいか、上空から見るパズーの故郷の草原や集落の遠景が、ことのほか美しかった。

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