宮崎駿が描く物語 目次
宮崎駿の作品世界を考える
どんな要素に注目するか
主人公と登場人物@
主人公と登場人物A
風景や背景の描き方@
風景や背景の描き方A
風景や背景の描き方B
歴史的・社会的状況の設定
物語やできごと@
物語やできごとA
しゃれた会話シーン
アニメ作品と原作
ナウシカの世界
 

どんな要素に注目するか

読書家: アニメ作品のどんな側面、どんな要素について語るかについて、ある程度話の流れを方向づけるために、まず、宮崎アニメ全般について感じていること、特徴的だと思うことをあげてください。

歴史家: 主人公あるいはそれに準じる登場人物には、圧倒的に女性、それも少女が多いと思います。
そして、彼女らが将来どんなふうに成長していくか、そのいくつかの可能性(将来の姿)を暗示する登場人物が主人公の近くにいて、その人たちがすごく存在感がある。
  つまり、女性の活躍する物語という感じが強いと思います。

絵描き: とにかく絵がすごくうまい。風景全体が大変美しく描かれています。
  そして、風のそよぎの表現とか、飛翔するものの眼からみた光景の変化とか、一瞬の光の変化(輝き、かげり)の表現技法はすばらしいと感じます。
  とにかく、非常にていねいに準備され、描かれている。シーンの1コマがそれぞれ芸術作品になりえるんじゃないかな。

読書家: 私が感じるのは、何らかの意味で戦いのシーン、シークェンスがとても多いと思います。そして、その戦い方の描き方がきちんと「様になっている」と思う。
  とくに武力による戦闘シーンが。宮崎駿は、かなりの軍事オタクというか、戦史や戦記、軍事史をかなり読んでいて、しかも理解が深いのではないだろうか。

絵描き: 物語にはとくにパターンがないような気がします。けれども、登場人物の性格とか心理、行動パターンはある程度は類型化できそうですね。

歴史家: それは、宮崎駿率いる制作集団が、人生観とか社会観として、あるいは個人の好みとして、どんなことに深い関心を描いているか、どんなことに価値を置いているか、人間の生き方、感じ方、行動スタイルとして何がすばらしいか、意味があるか、という点で似ている、共有しているからではないでしょうか。
  あるいは制作工程でそういうことを話し合ったり、コミュニケイションしたりして、あるまとまったイメイジをつくりあげていくのを大事にしているからではないでしょうか。

読書家: 登場人物の構成や性格、行動様式という側面、背景や風景の描き方の美しさ巧みさという側面、戦うシーンが多いという物語の特徴という側面などが提起されました。これらは、関連し合うものです。

  それでは今出てきた順番に沿って、まずはじめに各作品の登場人物、とくに主人公や主要人物の(性格や行動の)描き方について話し合ってみましょう。

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