かもめ食堂 目次
「おにぎり」は世界最高のランチ
見どころ
フィンランド
ヘルシンキの日本風食堂
ヘルシンキの夏至の頃
なぜ、ヘルシンキで?
日本からの女2人で・・・
「おいしいカフェ」の淹れ方
シナモンロールをつくると
マサコの冒険
おにぎり万歳!
悲しみの理由
「丑の刻参り」
おススメのサイト
人生を省察する映画
サンジャックへの路
阿弥陀堂だより
のどかな信州の旅だより
信州まちあるき

見どころ

  サチエは先頃、ヘルシンキへやってきて日本食の「かもめ食堂( Ruokala Lokki 〉」を開いた。「日本で開くよりもフィンランドの方が自分のイメイジにふさわしい」と直感してのことらしい。自分がつくった料理をお客さんに食べてもらって喜んでもらう」という目的のために、ヘルシンキまでやって来たというわけだ。大胆な女性だ。いや、女性だから大胆なのか。
  サチエはマイペイスで楽しくまじめにやっていればいつか必ずお客が集まってくる、という大雑把な――つかみどころがないが強固な――信念をもっている。けれども、それ以上の経営戦略とか計画はないようだ。ただし、味には自信があるようだ。

  ヘルシンキ――など北欧諸国の都市――では当たり前のことだが、ことさら目立つ店の看板を掲げて飾り立てることもないし、宣伝をおこなうこともない。首都の中心商店街には、日本のようにやたら目立とうとする看板・装飾ディスプレイはないようだ。
  サチエは毎日、朝から淡々と店の準備をするが、お客が来るようすはない。けれども彼女は少しも動じる風はない。
  ある日、サチエは、ひょんなきっかけで――あるアニメの主題歌を知ろうとしたことから――、やはり何の計画もなく単身でヘルシンキにやってきた日本人女性、ミドリと出会う。ミドリは、お客が来ない――つまり人手がいらないはずの――食堂を手伝うことになった。
  やがて、さらにもうひとり、ヘルシンキを旅する日本人女性、マサコとも知り合いになる。マサコは店の常連になえるが、やがて店のスタッフ(というよりも手伝い)になる。

  物語は、この店と3人の日本人女性たちがヘルシンキの街になじみ溶け込み、近隣の人びとと知り合い、日本食とともにやがて客となった近隣住民たちに好まれるようになる、ほのぼのとした経過を描いている。

フィンランド

  ヘルシンキはフィンランドの首都で、バルト海の東端のフィンランド湾の畔にある。エストニアの首都、タリンの対岸にある。港湾都市だ。フィンランドでは、最南端にあるので、国内で最も温暖なところだ。
  ヘルシンキからさらにフィンランド湾の奥に入って300キロメートル東には、ロシアの大都市、サンクトペテルブルクがある。

  フィンランドは古くは、スウェーデン王国の辺境属領=植民地として開拓された。だから、人種=民族的にはスウェーデン系の人びとも多いが、バルト海一帯の民族が混交したうえにロシア系、原住ラップ系とか、マジャール=アジア系などと多様な構成だという。フィンランド人自身は、自国を「スオミ Suomi 」と呼んでいる。
  フィンランドも熱帯地帯に植民地を保有したこともあるので、熱帯アフリカ系移民の人びともいる。
  ロシア革命後の70年間は、アグレッシヴなロシアに隣接してために外交的・軍事的にものすごく大変な自己抑制と忍耐を経験している。第2次世界戦争中には、ソ連に征服されてしまった。だが、戦争後には独立を回復し、隣接するソ連ロシアとの難しい外交関係を巧妙に制御しながら独立を保ってきた勇気と知性にあふれた国民性だ。

  日本人――とくに女性――には、森と湖沼に取り巻かれた美しい国として人気がある。国土のおよそ1割が水面におおわれているという。大昔の氷河の重みと浸食によって、湖沼や低湿地が多く首都ヘルシンキも白樺や針葉樹の森に取り巻かれている。住民の多くは春から秋まで、長い休暇の期間はもちろん毎週末、海や湖沼の畔や森林のなかのコテージでの生活を楽しむという。
  国土面積は日本の約9割強で、人口は536万人ほど。人口密度は日本の約14分の1。北極圏近くの北欧でゆったりと暮らしているようにも見える。個性を重要視した教育制度では、定評がある。
  寒冷な地域なので、人びとの体格は大きい。というのは、身体の体積を表面積に対して大きくしないと、免疫機能や循環や代謝機能が維持できないので、生き延びた人びと(の子孫)は必然的に大柄になるからだ。これは生物の法則である。
  そこに日本人女性としては平均的な体格の、したがって北欧では相当に小柄なサチエが住み着いて食堂を開いたわけだ。近所では「とても小柄な女性が飲食店を開いた」という評判が広がっていくことになった。

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