ブルースは、強奪犯の若者が出没するのではないかという願望を抱きながら、バルセロナの夜の歓楽街をあてもなく歩き回った。すると、あるディスコバーでスキンヘッドのヘクターを目撃した。だが、ヘクターはブルースの気配を察知して、バーからバイクで逃げ出してしまった。
ブルースは、ディスコバーで知り合った若い女性のスクーターバイクで――彼女を後部座席に乗せて――ヘクターを追いかけた。けれども、ヘクターは夜の闇に消え失せてしまった。しかし運よくその女性がヘクターの知り合いで、住居を知っていたから、ヘクターの居所を突き止めることができた。
ところが、ブルースがヘクターの住居に乗り込もうと近づいた途端、アパートの内部で爆発が起こった。衝撃でブルースは近くの車まで飛ばされてしまった。
ホセが殺され、ヘクターが爆殺され、こうして強奪犯グループで生き残っているのは、セザールとフェルナンドの2人だけになった。そのフェルナンドからセザールに、「仕事」の報酬を分配するから会おうという連絡が入った。落合場所は、バルセロナの沖合のボートだった。
ところで、セザールは仲間を殺したのはリーダーのフェルナンドだと疑っていた。報酬を独り占めするためだろうと見ていた。そして今度は自分の番だろうと。
そこで、セザールはフェルナンドを銃で返り討ちにしてやろうと計略したが、逆襲され、水中銃で撃ち抜かれて殺されてしまった。
ブルースは捜査の手がかりを得る方策を検討した。絵画強奪の手口がパラセイリングやロッククライミングという方法で機敏に襲撃したり逃亡したりしているものであることから、こういうスポーツ技能に長けた若者たちが疑わしいということで、市内のスポーツ品店を調べて回った。
するとその1つで、ヘクターと知り合いだという、あの若い女性と再会した。スポーツ品店の店員だったのだ。ヘクターは彼女から、フェルナンドやホセ、セザールがグループをつくって登山やパラセイリング、ダイヴィングをしているという情報を得た。
さっそくホセの住居に行ってみた。すると、ホセはすでに殺されていることがわかった。そして、美術大学の画学生であることも。
ブルースは、さっそく美術大の事務局を訪ねて、ホセやヘクター、セザール、フェルナンドという学生名で学生名簿を検索してもらった。すると、全員がダニエル・マーリン教授が指導する絵画講座の学生だった。セザールやフェルナンドという住居や出身地が怪しい若者の身元保証人がダニエルであることがわかった。
一連の絵画強奪事件の背後関係の一端が見えてきた。
ブルースは次にダニエルの絵画講座クラスを探ることにした。ブルースは学生を丸めこんでダニエルの教室を調べた。おりしもそんなところに、サンドラが現れた。彼女は先日、ここに書類を置き忘れたために取りに来たのだ。ブルースは、ダニエルが一連の絵画泥棒の背後にいるという推理をサンドラに説明した。
はじめはその説を信じなかったサンドラだったが、思い当たる節があったことから、ダニエルが今描いている作品=キャンバスを調べてみた。すると、絵具をぬたばかりのキャンバスの裏地が乾燥している。おかしいということで、上側のキャンバスを剥がしてみると、裏地に盗まれた絵画が貼りつけてあった。
こうして、サンドラとブルースは盗まれた3点の絵を取り戻すことができた。
だが、その様子をフェルナンドが監視していた。彼はただちにダニエルに携帯電話で状況報告をした。