タワーリングインフェルノ 目次
構想の地獄篇
原題と原作
見どころ
あらすじ

高層の地獄篇

  スティーヴ・マックィーン、ポール・ニュウマン、フェイ・ダナウェイ、ウィリアム・ホールデン、リチャード・チェンバレィンなどの豪華キャスト、そして超高層ビルでの火災事故と消防隊の活躍を描くスペクタクルと人間ドラマが、大きな話題をさらった。ひたすら高さや見栄えを競う高層ビル建築ブームの盲点を衝いた話題作。
  当時の社会の傾向をとらえて、娯楽性と批判精神を織り込む手法は、ハリウッド全盛期を象徴する。

原題と原作

  原題は Towering Inferno (1974年)。日本語にすると「高層ビルの地獄」とでもなろうか。原作は2つで、 Richard Martin Stern, The Tower, 1973 / T. N. Scortia & F. M. Robinson, The Glass Inferno, 1974 ――リチャード・マーティン・スターン著『タウワー(高層建築)』、1973年/T.N.スコーシア&F.M.ロビンスン著『ガラスの地獄』、1974年。
  「タウワリング・インフェルノ」とは実にウィットに富んだネイミングだ。
  Towering とは高層建築や教会聖堂などの高い尖塔を意味する英語。そして Inferno とは本来、地獄や地底を意味するイタリア語で、通常は中世イタリア、フィレンツェの偉大な文芸家、ダンテ・ディリ・アリギエーリの『神曲: Commedia Divina 』の第1篇の「地獄篇」を意味する場合が多い。
  中世以来、人びとは――教会の権威を誇示し――神や天界に近づくために、ひたすら高い地点をめざす塔建築を追い求めてきた。そういう高層建築タウワリングと「地底にある死後の苦痛の世界」を結びつけたところに、痛烈な皮肉あるいは寓意が込められている。そして、欲望のままに利得を貪る人間たちの悲惨な結末を描くことでも。
  で、物語の内容もまさに大災害=大災厄、そしてこれと苦闘する人間のドラマであって、地獄さながらの惨劇を描いている。
  高層建築といえば、日本語訳に「摩天楼」というすばらしく気の利いた用語がある。 sky scraper の訳語だ。 scrape は「爪を立ててかきむしる」という動詞だから、「高い塔建築物の姿があたかも空に手を伸ばして天空をかきむしるような状態にあること」を意味する。これを摩天楼と訳した人の才能とセンスに脱帽する。昔の人は偉かった!

見どころ
  人間の物質的・経済的欲望――そしてそれを支える手段となった工業技術――が生み出した超高層ビルディング。ところが、建設会社は材料費や建設費を浮かすために手を抜いた。設計上は存在するはずの防災システムが欠落していた。そのため、火災の予防・感知・消火システムが作動しなかったことから、ビルの上層部で大規模火災が発生してしまった。被害は拡大し、最上層階には多数の人びとが取り残された。消防隊が決死の消火と救出作戦を展開する。
  経済的欲望や利潤原理が突き動かす工業技術の発達は、人びとに新たな達成感や娯楽機会を与えるが、それは同時に災厄の危険性や原因を生み出し、累積していく過程でもある。
  危機の原因や危険要因は工業技術そのものにもあるが、その技術が利潤機会を追い求める企業の手によって駆使されることで、「材質節約」や作業の手抜き・サヤ抜きが横行し、でき上がった製品はさらに大きなリスクを抱え込む。そういうリスクの重合が災禍の度合いをひどくする。
  現代文明のただなかにあるハリウッドが、この危機感を描き出した名作。

あらすじ

  工業技術の著しい発達によって生み出されたた超高層ビルディング「グラスタウワー」。だが、資本主義のもとでは、超高層ビルの建築は営利事業として営まれる。建設会社は材料費や建設費を浮かすために手を抜き、燃えやすい材料が使用され、設計上は存在するはずの防災システムが欠落し、避難路は使えなかった。そのため、火災の予防・感知・消火システムが作動せず、上階からの避難もできず、もっと悲惨な形で超高層ビルの上層部で大規模火災が発生してしまった。
  最上層階には多数の人びとが取り残され、被害はどんどん拡大していく。困難を極める状況のなかで、消防隊は決死の消火作業と救出作戦を展開する。
  けれども、グラスタウワーの最上階からの救出活動は進まなかった。ついに炎が最上階に達するまでにわずか20分を切るところまできた。
  最後の作戦として、屋上の貯水タンクを破壊して、蓄えられた大量の水を落下させて火災の鎮圧を試みることになった。オハラハンとロバーツは協力してタンクに爆薬を仕かけた。まもなく爆破されたタンクから巨大な量の水が溢れ落下していった。

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