大誘拐  目次
見どころ
あらすじ
3人の「虹の童子」
おばあちゃん
おばあちゃんの山歩き
誘拐決行
おばあちゃん、3人の人柄を見抜く
驚きの隠れ家
刀自とクーちゃん
クーちゃんの心配
さて翌朝・・・
刀自とクーちゃん
さて翌朝・・・
乗っ取られた誘拐…身代金100億円
県警本部長、井狩
井狩の痛烈な反撃
虹の童子の反撃
警察の追跡網
奇襲作戦
刀自、テレビ中継に登場
山林資産の洗い直し
兄弟姉妹の結束
空のかなたに消えた100億円
刀自の帰還
井狩、刀自を訪なう
井狩、刀自に問いかける
おばあちゃん、「お国」に挑む
刀自の算段
3人の童子の旅立ち
正義の決断
平太の決意
健次の道
作品の奥にあるもの
天本英世のこと

警察の追跡網

  警察も犯人捕捉の対策を立てていました。パトカー3台を先頭にした追跡部隊が、放送車出発後3分のあいだをおいて追走するの手はずになっていました。この部隊は、外部からの無線通信を傍受する装置を装備し、犯人からの接触がありしだい、放送車に追いつき、包囲網をつくり上げようとしていたのです。
  放送車は、警察車両をうしろに引き連れて出発しました。
  それからまもなく、すっかり人の波が退いたWTBの玄関脇から「ダミーの放送車」が動き出した。放送局の構内から道路に出た後、国道24号線に入った。この車には、だれも注意を向けなかった。
    ところがこの車のなかには、女装した雷こと健次が助手席で運転手に指図し、後ろの席にはWTBの社長と報道局長、それにカメラマンが乗り込んでいました。この車こそ、「虹の童子」がはじめから、刀自の姿を放映する役割を割り当てていたものだったのです。
  刀自の発案で、女装した健次がテレヴィ局に乗り込み、刀自の身の安全のためには、そして刀自の無事な姿を放映したければ、ダミー車に要員とともに乗り込み、健次が指示する場所に向かえと命じたのだでした。

奇襲作戦

  テレヴィの生中継特番は続いていきます。ときおり、「正規の放送車」からの情報と映像が割り込みますが、「犯人からの接触なし」という報告と夜の国道の風景だけが送られるだけでした。
  ついに時刻は9時55分を過ぎてしまいました。警察の追跡・包囲網を恐れた犯人たちは、コンタクトを断念したのでしょうか。
    と、そのとき、別の放送車からと思われる映像が割り込んできました。
    「放送車、放送車、何ですか、この映像は!?」とスタジオのキャスターであるアナウンサーが叫びます。
  「こちら第2放送車。まもなく、刀自のおられる場所に到達する模様」と報告してきたのは、報道局長。

    「第2放送車!? だれが、いつ、そんなものを認めたんだ!?」と大声で問いただしたのは、井狩本部長。
    「当局が激高されるのはもっともです。が、仕方がなかったのです。その責任は、この私、報道局長と、ここに同行する社長が負います」
    「事態はまことにやむをえないものだったのです。刀自の無事のためには……。ここに、刀自からの手紙があります」と、社長はカメラの前に手紙を差し出しました。
    やがて、車が止まり、そのヘッドライトは深い谷の対岸に3人の人影をとらえました。手にしたライトを大きく回転させ、合図を送っています。女装の健次はワイヤレスマイクをもって車を飛び出しました。

    テレヴィの映像では、女装した男が谷に架けられた幅30cmほどの竹製の橋を渡っていきました。そして、暗闇のなかに姿を消しました。谷側を渡り終わると、男は素早く女性用ワンピースからジーパンとTシャツに着替えました。そして、ストッキングとサングラスで顔を隠し、2人組に守られている刀自の傍らに寄り添ったのです。

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