3つの物語「ユニバーサルソルジャー」「ソルジャー」「サイバーソルジャー」
冒頭の場面は、1970年代半ばのヴェトナム南部。北ヴェトナム軍と解放戦線の支配地は拡大して、アメリカ軍の支配地は蚕食され包囲されていた。アメリカ軍の敗色は濃厚で、アメリカは無意味な戦争の引き伸ばしをはかっていた。
前線に送られる兵士たちは、まさに政治の犠牲者だった。絶望的状況のなかで、戦場で多くの若者が精神を病むことになった。
リュ・デヴロー二等兵は、敵に包囲され孤立した集落の守備隊の救援に駆けつけた部隊の一員だった。
彼が村に足を踏み入れると、異様な光景が広がっていた。激しい戦闘の跡はないのに、村中に兵士と村民の死体が転がっていた。多くの死体は、耳が切り取られていた。凄惨な光景だった。
探索してみると、ある民家にアメリカ軍の軍曹が2人の村人を拘束して立てこもっていた。アンドルー・スコット軍曹だった。彼は精神に異常をきたして、同僚と村人をを次々に射殺して、耳を切り取ってしまったらしい。
「裏切り者を殺せ」と叫んで。
今も、民家のなかで、ヴェトナム人の若い男女を射殺しようとしていた。
デヴローは止めさせようとして近づき、説得したが、無駄だった。軍曹は、デヴローに「俺の味方なら、この2人を射殺しろ」と言って、拳銃を差し出した。デヴローが拒否すると、スコットは男の頭を撃ち抜いた。そして、2人は揉み合いになった。デヴローは若い女に「逃げろ」と叫んだ。
隙を見て女とデヴローは逃げ出した。だが、スコット軍曹は追いかけてきて、手榴弾を投げて女を殺してしまった。デヴローは振り向いてスコットを銃撃したが、スコットも「裏切り者」と叫んで撃ち返した。相撃ちになって、2人は倒れた。
その10時間後、アメリカ軍の救出部隊が駆けつけた。
部隊の指揮官は、現地を調査した結果、耳の首飾りをした軍曹が精神に異常をきたして仲間と村人を殺しまくったであろうことが判明した。こんな悲惨な事実は、兵士の家族に伝えることができない。ということで、この村で死んだ兵士たちは全員、(死亡の見込みが高い)行方不明者として、軍の公式記録に載せることにした。
しかし、指揮官は、スコットとデヴローの遺体は、軍の秘密研究部門に引き渡す手はずを取った。