シン・ゴジラ 目次
政治劇のテーマ…ゴジラ
見どころ
謎の巨大海洋生物の出現
「ものぐさ巨獣」の退散
多摩川の「決戦」
アメリカの動き
ゴジラのエネルギー代謝
恐るべきゴジラの反撃
内閣(政府中枢)の消滅
熱核攻撃まで15日
ヤシオリ作戦
ゴジラ凍結!
政治劇としての印象
ゴジラの形状特徴について
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風の谷のナウシカ
2014年版ゴジラ

ゴジラのエネルギー代謝

  牧が残した研究資料はアメリカ政府(DOE)に帰属するものだが、カヨコはゴジラ駆逐作戦のために牧が残した情報を日本側と共有して共同研究することを提案した。
  牧のこれまでの研究から、ゴジラの発生起源と活動エネルギー源が解明された。ただし、私は映画からはゴジラの発生起源と活動の仕組みはあまり理解できなかった。が、私が理解した限りでそれをあらましまとめるとこうなる。

  1950年代、東西冷戦のさなか、核開発(兵器と発電)競争が激化し、核に関する国際的規制システムがなかったことから、大量の核廃棄物が海洋投棄された。その核廃棄物を、たぶん古代から生き残っていた爬虫類が体内に取り込んで突然変異を超しながら、それを身体内で生存エネルギーとする代謝システムを発達させた。
  放射性元素は核分裂で崩壊しながら短時間に巨大なエネルギーを放出する。ゴジラは核分裂反応を制御する――核反応炉のような――機構を体内に備えているが、だとしても発生する巨大な熱エネルギーを吸収・放散するメカニズムを体内に持っている。

  体内の核反応炉からエネルギーを全身に運搬・拡散しながら冷却する働きを担うのは、血液(とリンパ液)循環らしい。このエネルギー代謝における熱交換(熱放散)を最も活発・大規模におこなう器官が巨大な背鰭突起だ。
  ゴジラは、生み出したエネルギーと放射線を充電するように体内に蓄積貯蔵、かつまた自分の思うとおりに放出することができるようだ。

  とすると、熱交換のための冷却水のような機能を持つ血液の循環を止めてしまえば、ゴジラは生き延びるために、体内での核分裂反応メカニズムを「凍結」させてしまうのではないか、とゴジラ対策研究班は推論した。
  蒲田から上陸したゴジラが――進化を繰り返しながら――都心に向かう途中で東京湾にひとたび戻ったのは、海水から陸上大気中に出た場合の冷却メカニズムの進化が不完全で、そのため体内での核分裂反応を停止するしかなかったことから、活動エネルギーを創出・獲得できなくなったためだろうと見られた。

  こうしたゴジラの生態的な特徴から、研究班は、ゴジラの血液を全面的に凝固(凍結)させてしまえば、体内での核反応メカニズムが停止し、活動が止まり、身体が固着するのではないか、と考えた。そこで、ゴジラを抑え込む対策として、あの巨体に見合った「血液凍結剤」を化学医に生成し、投与すればいいという作戦を考え出した。
  必要量は940キロリットル以上だった。

  さらに、ゴジラの体内からは、未知の元素と思しき物質が放出されていた。ゴジラは体内で元素の原子核の組み換えをおこなっているのかもしれないという。もしそうなら、ゴジラの体内では超新星の内部――数億°K、数億気圧を超える超高温・超高圧の環境下で――で起きるような原子核の重合がおこなわれていることになる。しかし、生物としての生存化が可能な温度と圧力下で核融合をおこなうよう仕組みがはたらいているということになる。
  そうすると、ゴジラの体内では核分裂と核融合(重合)の両方がおこなわれていて、生物的仕組みによって元素を変換する機能を持つというわけだ。
  そんなバカな、というなかれ、ゴジラの内部には別の宇宙があるのだ。が、もちろん、そんなことは論理的には成り立たないから、ファンタジーとして理解すべきだろう。

  ところで、ゴジラは身体を動かすのに必要な分量を超えるエネルギーを充電するように蓄積することができる。蓄積しておいたエネルギーを口や身体全体からレイザーのように収束性と凝集力がきわめて高い熱核光線として放射するのだ。

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