ボクは坊さん。 目次
四国巡礼路の寺の坊さんの物語
いつか坊さんになるだろう
住職になるということ
瑞円の遷化と剃髪
光円(進)の生い立ち
和尚になってみると
自分らしく住職を務めると
無力なボクにできること
長老の死去
逝く人に手向ける言葉
おススメのサイト
人生を省察する映画
サンジャックへの道
阿弥陀堂だより
アバウト・ア・ボーイ
のどかな信州の旅だより
信州まちあるき

和尚になってみると

  光円は寺の跡継ぎになって、自分らしく仏道を進もうとするのだが、檀家など周囲の期待になかなか応えきれない自分の足元をみつめて、少し不安になった。
  そんなある日、光円が境内を掃除しているところに京子が現れ、真治が働くバーに飲みにいこうと誘われた。京子に淡い憧れを持っていた光円だったが、京子はなんと突然、結婚を宣言した。相手は職場の同僚のトラック運転手だという。
  光円は京子から栄福寺で仏前結婚式を執り行うように頼まれた。子どもの頃から何かと縁が深く、遊び場ともなっていた寺で結婚式をしてみたい、というのだ。
  やはり、幼なじみはありがたい。京子は光円に寺の行事を自らの手で運営する機会を与えてくれたのだ。
  こうして、光円は迷いながらも自分らしく寺の住職としての経験を積んでいく。


  ところが、大手企業に勤めた広太は会社を辞めて引きこもりになっていた。
  孝典から広太の事情を聞いた光円は、いっしょに広太のアパートを訪れたが、広太は外界との接触を拒んでいた。2人の呼びかけに広太は応じようとしない。
  その夜、光円と孝典は酒を飲みながら広太の問題を語り合った。そして、酔った勢いで、アパートから広太を連れ出し、いっしょに学んだ高野山へタクシーを走らせた。
  真夜中に山中の町にやって来たものの、泊るところもない。しかも光円と孝典は酔いが回ってしまって寝入ってしまったらしい。
  その2人を介抱して、学生時代に行きつけの居酒屋まで運び込んだのは、広太だった。心が挫けてしまった広太を救いに来たはずの光円と孝典が、逆に広太に助けられるという、「有意転変」の説法を地で行くような場面ではないか。

  翌朝、光円と孝典は居酒屋の畳部屋で目覚め、広太と店の娘から昨夜の醜態をあげつらわれることになった。2人は修行の浅さというか不覚を反省した。
  そのあとで3人とも心を整理するために、弘法大師が入定しているとされる奥の院にお詣りし、山林に囲まれた清澄な高野山の朝の空気のなかで密教の教えを唱えた。「母も父も、そのほか親族がしてくれるよりも、さらに優れたことを、正しく向けられた心がしてくれる」と。

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