コーラス 目次
合唱団の想い出 ― 人生の転機
あらすじと見どころ
「池の底」の回想
挫折を経験した者の強さ
合唱団の結成
ピエール・モーロンジュ
「悪童モンダン」
盗難事件
ピエールとヴィオレット
合唱団の栄光
学校の火災
離別の日
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合唱団の想い出 ― 人生の転機

  この作品は、ある有名指揮者とその幼友とが、50年以上も前に訪れた人生の転機を回想することから始まる物語だ。かなりユニークで、今では実際にありそうもないと思われる物語だ。
  だが、1940年代末なら、ひょっとしたらそんなこともあったかとも考えられる物語だ。
  第2次世界戦争終結からほど近い時期の、戦争による破壊や荒廃がまだ広範に残存していて。復興と再建に向かう混乱に満ちた、それゆえまた可能性に満ちた時代だったから、そんなこともあったのではないかと想像される物語だ。

  このフランス映画の邦題は『コーラス』で、2004年公開作品。原題は Les Choristes で 、意味は「合唱隊」「合唱団員たち」。英題は The Chorus 。
  海外(英仏)サイトの映画情報によると、この作品は、1945年のフランス映画《 La Cage aux Rossignols ( A Cage of Nightingales )――意味はともに「サヨナキドリナイティンゲイルの鳥籠」》からの翻案らしいのだが、原案作品の内容については不明。リメイク版の物語は、原案作品とさほど変わっていないのではないかと思われる。

  ナイティンゲイルロシニョールとは、茶褐色のウグイスによく似た小鳥で、春から秋にかけて昼も夜も美しい鳴き声でさえずるという。題名のナイティンゲイルに喩えられているのは、美声で歌う合唱団の少年たちで、その少年たちが特別学校という「鳥籠」に閉じ込められている状態だろう。

あらすじと見どころ

  多くの人びとは少年時代に人生に夢を描いて挫折する。
  だが、砕けた夢の破片がその後の人生の趣味や生き方として、生き残ることもある。そんな夢のかけらがもたらした努力で、幸運な出会いを得て、人びとが成長し変わることもある。
  物語の主人公は、かつて音楽家――作曲家か指揮者か?――を夢見て挫折し、その後、風采の上がらない私立学校(基礎課程)の教師となった中年男。小太りで禿頭、見栄えのしない姿。
  彼の風貌は、アガサ・クリスティの《探偵ポワロ》から強すぎる自尊心を取り去ったような風貌だ。

  音楽家になる夢に挫折した彼はたまたま――日本でいえば「感化院」のような――特殊な矯正学校の寄宿舎監を兼務する教師となった。
  何かの事情で親元や家庭から遠引き離され遠ざけられた少年たちが寄宿生活する学校で、それゆえ、愛情を受けずに育った子どもたちは何かと世をすねて反抗的だ。
  新任教師、クレマン・マテュウは、荒れる少年たちを教導するために合唱団をつくった。担任クラスの生徒たちからなるコーラス隊だ。
  少年たちは音楽の楽しさ、合唱の喜びに目覚めていく。
  そんな少年の1人に、やがて有名な指揮者となるピエール・モーロンジュがいた。彼には、天性の豊かな音楽の才能があった。才能はクレマンに見出され開花していく。

  無理解な大人や大人がつくる権威への反抗を繰り返してきたピエールは、クレマン先生との出会いでまさに人生の転機を得ることができた。
  だが、わずか半年ののち、学校にはいくつも事件や事故が起き、保身と権謀に長けた校長は、責任をクレマンに押しつけ、クレマンは解雇されて学校を去っていった。

  どうでもいいことだが、学校の場所は《サンジャックへの道》で出発点となったフランス中央部の山岳地帯、ルピュイの近くの山間地の森のなかにあると思われる――物語の状況設定上ではなく、単にロケイションだけかもしれないが。
  ただ、原作と脚本の物語でもリヨンや南フランスに近い設定になっているようだ。

  ところで、主人公、クレマン・マテュウの名前だが、マテュウとはキリストの使徒(弟子)のひとりにして殉難者、マタイ(マテオ)にちなむもの。
  虐待される生徒たちに連帯と救いの手を差し伸べる役割なので、名前の設定には、あるいは何らかの暗示があるのかもしれない。

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