第9地区 目次
地球人類とエイリアン
見どころ
ヨハネスブルクのエイリアン
エイリアンの惨めな生活
エンジニア父子
ウィクスの悲劇
ウィクスの抵抗と逃亡
三つ巴の戦い
花を愛するエイリアン
エイリアンは人類像の投影
おススメのサイト
人生を省察する映画
サンジャックへの道
阿弥陀堂だより
アバウト・ア・ボーイ
のどかな信州の旅だより
信州まちあるき

三つ巴の戦い

  ウィクスとクリストファーは、やっとのことで燃料を携えてクリストファーの住居に戻ってきた。だが、MNUの戦隊が迫って来ていた。
  燃料を宇宙艇に注入すると、クリストファーは言った。
  「地球人たちはMNU施設でわれわれの仲間を実験台にしていた。このままでは、仲間が危ない。だから、母船でいったん故郷の惑星に帰って仲間を安全に全員帰還させることができるように手立てを取る。それから大型の宇宙母船で地球に戻るってくる。
  そのためには地球時間で3年間かかる」
  それを聞いたウィクスは、3年間も放っておかれるのは嫌だと言い張って、小型宇宙艇を乗っ取り、母船に行こうと飛び立ったが、すぐにMNUの機関砲で撃ち落とされてしまった。
  MNUの戦隊はウィクスとクリストファーに激しい攻撃を仕かけてきて、2人を捕えてしまった。

  ところが、そのときオバサンジョ団がMNUに奇襲を仕かけてきて、ウィクスとクリストファーを逃がした。もちろん、この2人を助けるためではない。彼らは、エイリアンの新体細胞に変異したウィクスの腕を食べれば、エイリアンの身体に変異してエイリアンの兵器を操縦できると信じている。そのため、ウィクスをMNUに渡すわけにはいかないというのだ。
  こうして、MNU戦隊とオバサンジョとの殺戮戦が始まった。
  この戦いを勝ち抜いて生き残ったのは、兵器の強度と性能に勝るMNU戦隊だった。

  その間に、クリストファーの息子がバトルスーツ――エイリアンが乗り込んで操縦する戦闘ロボット――を起動させて、ウィクスを乗り込ませた。ウィクスをそこから逃がすためだった。
  だが、ウィクスは恩義を感じて、クリストファー父子を助けるために、MNU戦隊に立ち向かっていった。
  ウィクスが時間を稼いでいる間に、クリストファー父子は宇宙艇モデュールに乗り込んだ。そして、クリストファーはウィクスに「必ず3年後に地球に戻って来て元の身体に戻すから」と約束して、母船に向かって飛び立っていった。

  ウィクスは奮闘してMNU部隊に反撃して兵員を次つぎに倒していったが、最後の1人――悪辣な傭兵ヴェンター ――にバトルスーツを破壊されてしまった。
  ヴェンターは、無防備になったウィクスを殺そうと迫って来た。
  ところが、そのときエイリアンの一群がヴェンターを取り囲んで襲いかかり、彼の身体をズタズタに引きちぎってしまった。あるいは食べてしまったのかもしれない。というのも、地球上の動物脂肪は、彼らにとって実に美味な食糧なのだからだ。
  こうして、戦いの場にウィクスが生き残り、地球上空から彼方の銀河に飛び立とうとする宇宙母船を見送ることになった。

花を愛するエイリアン

  それから何か月も経過した。
  そのあいだにエイリアンの居住区からウィクスの姿は消えていた。地球人類は、ウィクスは死亡した者と判断した。
  ある日、ウィクスの妻の家の戸口に可憐な野草の花束が置かれていた。妻は、死んだと思われているウィクスがじつは生きていいて、彼女に変わらぬ愛を告げるために花束を置いたのではないかと、かすかな期待を抱いた。
  だが、ウィクスの行方は杳として知れなかった。

  その頃、エイリアンの居住区に少し変わった性格のエイリアンが現れた。
  それまで、エイリアンたちは地上の植物(草花)にはほとんど興味を示さなかったのだが、そのエイリアンは見るからに穏やかで心やさしげで、野草を見つけると積んで小さな花束をつくったり、なでて愛でているという。
  地球環境にすっかり順応したエイリアンの新世代かもしれない。
  だが、ひょっとすると、全身がエイリアンの新体細胞に変異してしまったウィクスかもしれない。映像は何も説明しないまま、物語は終わる。

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