のだめカンタービレ        物語と人物 目次
気になるのは、恋の始まり?
才能は受け入れたが、女性としては
のだめの変化
自立した女性の姿
タダモノではない、中華屋のオヤジ
想い出
さまざまな師弟(師妹)関係
江藤耕造と千秋
教育の方法、指導法についての寄り道
西岡肇と「のだめ+千秋」
千秋とシュトレーゼマン
江藤教授とのだめ
オクレールとのだめ
オーボエの黒木くん
コンクールについて
心に残るシーン
千秋とSオケとの出会い
マエストロはオケを掌握し組織化する

■さまざまな師弟(師妹)関係■

  このドラマには、いろいろな形の先生(指導者=教育者)とその教え子(ピュ―ピル)たちの関係が登場します。この特殊な人間関係は、じつに不可思議で面白いものです。
  もっとも、それがただの縦の関係(支配・従属)であったなら、当事者たちには苦痛や苦悩以外の何ものでもないでしょうが…。

  ここでは、そういう重く苦しい関係は描かれません。何らかの意味で、必ず建設的で、若者たちの成長譚に相応しいものになっています。それが好ましいですね。

◆江藤耕造と千秋◆

  まず、ドラマの初回冒頭から、千秋と江藤教授の師弟関係の「破局」の場面が描かれます。
  まさに、このドラマは学園ドラマでもあるので、ここで師弟関係が物語の主要なトピックスの1つであることが明確に示されます。
  芸術家の世界では当たり前かもしれませんが。これは、ドラマの初回によく使われる演出法です。

  そこでは、千秋は江藤教授(の教育方法)に対してプロテスト・反乱を起こします。
  とにかく、この江藤さんも変わっている(変人なの)です。
  何しろ「張り扇」を振り回して学生を指導するのですから。そして、アクの強い(柄の悪い)関西弁。
  で、江藤先生は「ハリセン」と呼ばれ、学生たちからエリート塾の指導者として畏怖され、恐れられています。


  けれども、人物設定上、江藤さんはきわめて有能な教授で、ピアノの優秀な演奏家でもあるですだ。そして、とびきり美しい奥さん(服装が派手というか若づくりというか)がいます。
  奥さんは、江藤さん(のピアニスト=教授としての才能)に憧れているます。
  なのに、張り扇を振り回してキャンパスで学生を追い回し、威圧するのです。「張り扇は、俺の愛の形や!」とうそぶいて。まあ、ギャグなのですが。
  この落差がすごい。

  千秋は、江藤先生のこうした態度や行動スタイルにも反発するのです。が、どうやら反抗の一番の眼目は、教育指導の基本的な方針に対してらしいのです。
  この千秋の反発には、私も同意します。

  さて、決裂のときから、千秋としても、江藤先生としても、「指導(指揮)する」「教える」「方向性づけ」という点について、悩みと模索が続いていくようです。
  江藤先生は、千秋の指導の失敗を深く反省して張り扇を捨て去り、その後は指導法を改革して、すばらしい教授になったようです。

  千秋も、いってみれば完璧主義者で、江藤先生と似たところがあります。
  のだめやオケのメンバーに対して、けっこう一方的に方針というか理想を押し付け気味になりがちです。
  しかし、なにかのきっかけで、一歩退いて、自分たちを客観的に眺めるというセンスはあります。その辺が、相手の資質や才能を見抜くセンスにつながっているのでしょうが。

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