のだめカンタービレ        物語と人物 目次
気になるのは、恋の始まり?
才能は受け入れたが、女性としては
のだめの変化
自立した女性の姿
タダモノではない、中華屋のオヤジ
想い出
さまざまな師弟(師妹)関係
江藤耕造と千秋
教育の方法、指導法についての寄り道
西岡肇と「のだめ+千秋」
千秋とシュトレーゼマン
江藤教授とのだめ
オクレールとのだめ
オーボエの黒木くん
コンクールについて
心に残るシーン
千秋とSオケとの出会い
マエストロはオケを掌握し組織化する

■オーボエの黒木くん■

  このドラマは、ほんとうに観ていて面白いし、楽しい。
  演出家や脚本、役者、スタッフたちは、自ら興味深く取り組み、限られた時間とはいえ、かなりの「掘り下げ」をおこなったのでしょう。
  その雰囲気がドラマのエアーとして伝わってきます。
  やはり原作と題材が秀逸だからでしょうか。

  R☆Sオケのメンバーのなかで、私が存在感を感じ、また好感を持ったのは、オーボエ奏者の黒木泰則くんです。オーボエという楽器そのものが気に入っているせいもあります。
  が、演じる福士誠治の持つ雰囲気が好ましいからだろうと思います。

  ナイーヴでまっすぐで自己抑制が強い若者というキャラクターがいいですね。それに、いってみればピッタリの役者をあてはめたところが、演出の妙でしょうか。
  で、黒木君の影響をもろに受けて、オーボエコンチェルトにはまり、18世紀後半のイタリア、晩期バロックのオーボエ協奏曲のセレクションCDを買って、毎晩ナイトキャップ曲として聞き続けていた時期もありました。
  飾り気のない簡素で哀愁を帯びたオーボエの音色は、なるほどオーケストラのほかの楽器の音色に埋もれてしまいそうにも感じるが、不思議な安らぎを感じる。

■コンクールについて■

  ところで、千秋真一が挑戦したヨーロッパでの指揮者コンペでの審査評価について。
  1次、2次の実演予選を通過したあとに、本選ではオーケストラ・リハーサルの様子を審査員が見て審査評価するといいます。

  けれども、その時間はたった30分。映像で見る限りは、リハーサルというよりは、ほとんど仕上がった本番前の通しの練習にしか見えないのですが。
  指揮者が要求するイメイジをメンバーに伝え理解させ、ことにコンサートマスターとの打ち合わせ調整などでも時間がかかるだろうに。
  それをわずか30分で見ても、何ほどのこともわからないだろうと、素人の私は思うのですが、実際の指揮者コンペでもそうなんでしょうか。

  そういう練習と仕上げには、少なくとも20時間くらいのリハーサルが必要ではないでしょうか。そうしたプロセスを見ないで、リハーサルの仕上げを30分くらい見ただけで、指揮者の方法論やセンス、構想が審査できるものでしょうか?
  プロの指揮者(審査員)たちは、それだけ見れば、すっかり把握してしまうのでしょうか。そうかもしれませんね。
  それとも、撮影のための便宜として、わずか30分のリハ審査なるものを盛り込んだのでしょうか。

  このほかに、笑ってしまうのは、のだめが参加したピアノコンクールの名称が「マラドーナ・コンクール」だったこと。そういえば、千秋が参加した指揮者コンクールの名前も「プラティニ」でしたね。おいおい、それでは、サッカーの選手権じゃないのかって思いますよね。
  だが、まあ喜劇だから・・・。

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