このドラマは、ほんとうに観ていて面白いし、楽しい。
演出家や脚本、役者、スタッフたちは、自ら興味深く取り組み、限られた時間とはいえ、かなりの「掘り下げ」をおこなったのでしょう。
その雰囲気がドラマのエアーとして伝わってきます。
やはり原作と題材が秀逸だからでしょうか。
R☆Sオケのメンバーのなかで、私が存在感を感じ、また好感を持ったのは、オーボエ奏者の黒木泰則くんです。オーボエという楽器そのものが気に入っているせいもあります。
が、演じる福士誠治の持つ雰囲気が好ましいからだろうと思います。
ナイーヴでまっすぐで自己抑制が強い若者というキャラクターがいいですね。それに、いってみればピッタリの役者をあてはめたところが、演出の妙でしょうか。
で、黒木君の影響をもろに受けて、オーボエコンチェルトにはまり、18世紀後半のイタリア、晩期バロックのオーボエ協奏曲のセレクションCDを買って、毎晩ナイトキャップ曲として聞き続けていた時期もありました。
飾り気のない簡素で哀愁を帯びたオーボエの音色は、なるほどオーケストラのほかの楽器の音色に埋もれてしまいそうにも感じるが、不思議な安らぎを感じる。
ところで、千秋真一が挑戦したヨーロッパでの指揮者コンペでの審査評価について。
1次、2次の実演予選を通過したあとに、本選ではオーケストラ・リハーサルの様子を審査員が見て審査評価するといいます。
けれども、その時間はたった30分。映像で見る限りは、リハーサルというよりは、ほとんど仕上がった本番前の通しの練習にしか見えないのですが。
指揮者が要求するイメイジをメンバーに伝え理解させ、ことにコンサートマスターとの打ち合わせ調整などでも時間がかかるだろうに。
それをわずか30分で見ても、何ほどのこともわからないだろうと、素人の私は思うのですが、実際の指揮者コンペでもそうなんでしょうか。
そういう練習と仕上げには、少なくとも20時間くらいのリハーサルが必要ではないでしょうか。そうしたプロセスを見ないで、リハーサルの仕上げを30分くらい見ただけで、指揮者の方法論やセンス、構想が審査できるものでしょうか?
プロの指揮者(審査員)たちは、それだけ見れば、すっかり把握してしまうのでしょうか。そうかもしれませんね。
それとも、撮影のための便宜として、わずか30分のリハ審査なるものを盛り込んだのでしょうか。
このほかに、笑ってしまうのは、のだめが参加したピアノコンクールの名称が「マラドーナ・コンクール」だったこと。そういえば、千秋が参加した指揮者コンクールの名前も「プラティニ」でしたね。おいおい、それでは、サッカーの選手権じゃないのかって思いますよね。
だが、まあ喜劇だから・・・。