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今回はテレヴィドラマの物語を取り上げます。映像物語は、すべからく「映画」としてあつかうことにしています。
『のだめカンタービレ ヨーロッパ編』のDVDを借りて、ドラマの物語を丁寧に鑑賞してみた。これだけ難しい題材とテーマを扱っている実写ドラマなのに、大変よくできている。それに、名曲のオーケストラ演奏の「さわり(エッセンス・クライマックス)」が数多く、随所に登場する。贅沢な作りの作品だ。
蛇足だが、「さわり」というと、現在では「出だし」とか「導入部」という意味に受け取られているが、本当は「本質・真髄を表現する中心部分」という意味である。もちろん曲想のメインテーマが冒頭に来る場合もあるが。
原作に盛り込まれている物語や場面設定の広大さと複雑さからいって、ヨーロッパ編をドラマ仕立てにするのは、非常にきつかったと思う。だが、出演者たちは、物語やエピソードの面白さに魅力を感じているのだろう、完成度の高い出来具合になっている。
しかも、音楽演奏、場面設定もかなり苦労したに違いない。扱いづらい題材、場面をうまく演出している。
だから、制作陣、出演者たちに心から拍手を送りたい。
私は音楽の門外漢だから、このドラマで扱われている音楽の知識については本当に勉強になった。それをきっかけに本やネットで情報を集めて大いに学んだ。ここで感謝しておきたい。
見どころと物語
見どころは、のだめと千秋が留学したヨーロッパでそれぞれ自分の目標や課題を見つけ出し、戸惑いながら挑戦していく姿と過程だ。
とりわけのだめは、「千秋と一緒にいたい」という願望に突き動かされて音楽のさらなる高みとヨーロッパ留学をめざすことにしたから、音楽の専門家になるうえでの覚悟や目標・課題設定が全然できていない。
しかし、ヨーロッパのパリ・コンセルヴァトワールでの研究はそんなに生やさしい姿勢を許すほどには甘くない。世界中から天才秀才が寄り集まって来て切磋琢磨し合う場所なのだ。
千秋は指揮者コンクールへの出場と上位入賞をめざす。そこでさまざまな個性や才能に出会い、悩み格闘する。そして、より高い目標を目指していく。
ところが、のだめはそれまでの甘い姿勢や勉強不足をとことん思い知らされ、何度も挫けそうになる。でも、「音楽とピアノが好き」という心の核心によりすがって――千秋の援助にも助けられながら――、自分の課題を見つけていく。
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