ウェストワールド 1 目次
原題について
見どころ
あらすじ
デ ロ ス
ピーターとジョン
西部劇の町
ガンファイト
夜の闇の向こうで
コンピュータシステムの発達の陥穽
ふたたびガンファイト
自立化し始めたロボットたち
牢破りと逃避行
動揺する制御本部
ロボットの反乱――人間狩り
逃げ回るピーター
プロットの先進性
当時の日本のコンピュータ
アメリカのコンピュータ工学
テーマそのものについて
AIと人間

西部劇の町

  ピーターとジョンが加わった一行は、ウェストワールドを訪れた。
  訪問客たちはその世界に出る前に、西部の町にふさわしい格好(服装)に着がえた。訪問客には、1人ひとりに合わせてあつらえた服装と希望の拳銃が配られた。更衣室から出ると、そこはもう、映画セットのような19世紀後半の西部の町だ。
  周囲を砂漠や草原に囲まれて、開拓地の町並みが設定されている。彼方の向こうから道が続き、町を横切っている。その道を馬車が通り抜け、町の住民や牧童、農夫が歩き回っている。
  この西部の町を動き回る生き物は、人も馬も犬も、そして草原や砂漠の動物たちもすべてロボットだという。毎日、開園時刻よりも少し前になると、制御コンピュータシステムがすべてのロボットを起動させる。
  ピーター・マーティンとジョン・ブレインが、この町の通りに出たときには、のどかだが活気のある西部の町の昼の光景が広がっていた。

ガンファイト

  2人は酒場に入った。カウンターに近づくと、ジョンが酒を注文した。真似をしてピーターも酒を注文した。店主は、2人分として1本の酒瓶を出した。グラスに注いで飲んでみると、口のなかが焼けるような強い酒だった。
  2人が会話しながら、店のなかの様子を眺めていると、隣に黒ずくめの男が近づいてきた。そして、カウンターの向こうの店主に強い酒を注文した。静かに落ち着き払っているが、この男には不穏な雰囲気(殺気)が潜んでいいる。

  ユル・ブリンナー演じる、このガンマン・ロボットは、ピーターを挑発した。彼は、最初のグラスを口にしたマーティンが咽たのを見ていたようだ。
「坊やは、ミルクでも飲みな。…腰抜けは引っ込んでいろよ」とか、侮蔑的な言葉を投げかけてきた。
  ジョンはマーティンを励ますようにけしかけた。「大丈夫だ。やっつけてしまえ。銃を抜け」と。
  ピーターは、黒づくめの男に向き直ると、いまの雑言を撤回しろと言い返した。すると、男はゆっくりと振り向いた。
  険悪な雰囲気に恐れをなした店の客たち(ロボット)は、みな我勝ちに店の外に逃げ出したり、物陰に隠れようとした。
  それでは、銃で決着をつけようということになった。男とピーターは3、4メートルほど離れて正対した。ついに、ガンファイトが始まった。ピーターは、西部劇の見よう見まねで素早く銃を抜くと、男に向かって引き金を引いた。彼の放った銃弾は2発とも、ガンマンの胸と腹を撃ち抜いた。男は血を飛散させながら、倒れていった。
  その男は、客にガンファイトで楽しんでもらうためのロボットだった。身体の内部は機械仕掛けなのだが、銃弾で穿たれた傷口からは真っ赤な血液が噴き出し、倒れ、痙攣して、「死んで」いった。

  その後、2人はホテルに戻って一休みした。
  ピーターは緊張の瞬間をようやく脱して、ひと安堵していた。
「危なかったが、何とか倒すことができたな」とジョンに打ち明けた。だが、ジョンは、それを当然のこととして受け流した。
  ベッドでくつろぎ始めたブレインは、マーティンに「俺を撃ってみろ」と言った。躊躇するマーティンを、「大丈夫だから、撃ってみな」と促して、引き金を引かせた。すると、銃弾は発射されなかった。
  ジョンが説明した。
  この銃は特別の機械装置で、内部のセンサーが生物としての熱を感知すると、銃弾が発射されないようになっているという。だから、無生物の物体やロボットに対してだけ銃撃できるのだ。だから、絶対に人間に向かっては銃弾が飛ばないようになっているわけだ。

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