ウェストワールド  目次
原題について
見どころ
あらすじ
デ ロ ス
ピーターとジョン
西部劇の町
ガンファイト
夜の闇の向こうで
コンピュータシステムの発達の陥穽
ふたたびガンファイト
自立化し始めたロボットたち
牢破りと逃避行
動揺する制御本部
ロボットの反乱――人間狩り
逃げ回るピーター
プロットの先進性
当時の日本のコンピュータ
アメリカのコンピュータ工学
テーマそのものについて
AIと人間

ロボットの反乱

  最先端の科学技術を駆使して快適さと娯楽を求め続ける人類。
  ついに、巨大なコンピュータシステムによって集中制御されたロボットが人類の欲望に奉仕するアミューズメントパークが出現した。そのロボットたちは、部品製造と組み立てを完全自動化した工程で生み出されたものだ。だが、この製造とパークの集中管理を担うシステムがウィルスに汚染され、暴走を始めた。制御系とロボットが人類への反逆を企てたのだ。
  マイケル・クライトンの制作指揮・監修によるもので、1973年作品。

原題について

  原題は Westworld 。「西部劇の世界」というような意味だろう。深読みすると、表記を Western World としないで「ウェストワールド」としたのは、未来世界をイメイジさせたかったからかもしれない。
  なお、英語圏でもウェストは「西方浄土」に近い意味があり、あの世とか冥界を表象するすることもある。さらに、滅亡して失われた世界「ロストワールド」という含意も込められているかもしれない。

見どころ
  手塚治虫やアイザック・アシモフなど、ロボットSFの先駆者たちは、人間の指示命令に従順であるべきロボットの電脳が進化した結果、人間に対して反抗したり、反乱を企てたりするようになるという物語を描いた。
  この映画は、人間の娯楽のために設立運営されるアミューズメントパークのロボットが反乱を起こし、人間を攻撃し殺害してしまうようになった大惨劇カタストロフを描いている。パークのコンピュータシステムがウィルスに侵されて、ロボットの統制システムに異常が発生したための災厄だ。
  この――巨大な制御システムがウィルスに乗っ取られて、人類の絶滅をねらうようになり、ロボットが執拗に人間の殺戮を求め続けるという――プロットは、「ターミネイター」シリーズにも受け継がれている。

あらすじ

  近未来のアメリカ西部の砂漠地帯に最先端のロボット工学を動員して「デロス」というアミューズメント・テーマパークがつくられた。そこには古代ローマの世界、中世の王国の世界、西部劇の世界という3つのアリーナが用意されていた。
  そこで人間は主人公となって、ロボットを相手に思いのままに縦横無尽の活躍をすることができた。人間たちは日常生活での鬱屈を晴らすために、デロスにやって来てヒーローを演じるのだった。
  ところが、テーマパークの環境やロボットの動きを制御する中央コンピュータシステムにウィルスが入り込んで、システムとプログラムを人間を殺戮するように書き換えてしまった。
  ついに制御コンピュータとロボットの凄まじい反乱が始まった。スーパーコンピュータは、コントロールセンターの扉開閉装置を操作して人間たちを閉じ込め、しかも空気調整=通気装置を操作して、所長をはじめ全係員を殺してしまった。
  3つの「世界」でも、ロボットは人間狩りを始めた。
  なかでも西部劇で悪役ガンマンを演じることになっていたロボットが、以前に闘った(そして自分が殺されることになった)相手を執拗に付け狙って、1人またひとり倒していく。
  コンピュータシステムが人類社会の基幹的なインフラやライフラインを制御するようになった結果、人工知能、自律的知能が行き着くかもしれない、1つの帰結だ。深い警告が込められている。

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