さて、燃料の横領の真相はサマンサの大活躍で証拠が固められた。
コニーの転落死事件があってから、フォイルはサマンサに潜入捜査からの撤退を命じた。翌朝、サマンサは退職を申し出ようとしたが、ベネットがコニーの代わりの配給業務を命じたために、その日は勤務を続けた。そして、事務所に人がいない時間にこっそり事務所に入って、金庫を開けて、保管してあった配給指示伝票や取引記録を持ち出した。それは、犯行の手口を語る証拠だった。
彼女は、パブ・フラミンゴでの乱闘事件の翌朝、ベネットに呼びつけられて、叱責を受けたのだが、そのときベネットの妻のパメラが金庫を開けているところを盗み見して、金庫の開錠ダイアル番号を探り出していたのだ。
ところが、そのときショーン・オハロランが事務所に入ってきた。サマンサはとっさに机の下に身を隠した。オハロランは、時限爆弾を仕かけたカバンを机の上に置き、外から事務所を施錠して出ていってしまった。
机の下から出てきたサマンサはオハロランが時限爆弾を仕かけたことを知って事務所からだ出しようとしたが、施錠してあったため、閉じ込められてしまった。
サマンサはすぐに事務所の電話で警察署のフォイルに助けを求め、バリケイドをつくってその後ろに隠れた。フォイルは爆弾処理班員と警官隊を率いて、ベネットの事務所に急行した。そして運よく、サマンサを救出することができた。
ところが、爆弾処理班が時限爆弾を解体してみると、彼らが駆けつける何分も前に爆発するように時限装置がセットしてあったことが判明した。配線ミスか何かで時限点火装置が故障していたため、爆発を免れたにすぎなかったのだ。しかも爆薬の威力は、会社の家屋全体を粉々にしてしまほどのものだったらしい。う
サマンサは幸運に恵まれて生き延びたのだ。
ショーン・オハロランはアイリッシュ系の小悪党だが、血気盛んなもっと若い頃にIRAの抵抗闘争や破壊活動に関与したことがあるのだろう。フランク・ガノンの燃料横領グループの仲間だった。燃料の抜き取りや、犯行の隠蔽に手を貸していたようだ。
今回は大金と引き換えにベネットの事務所に時限爆弾を仕かけたのだ。ガノンは事務所を爆弾で吹き飛ばして、証拠をすべて消してしまおうと狙ったのだ。