その頃、ジャッカルはアルファロメオでドーフィネの山岳部に向かっていました。
途中、人気のない農道に入ると車を止めて、簡易塗装器で車の色を塗り換え、ナンバープレイトを取り換えてしまいました。
当局が指名手配した人物はイタリアナンバーの白いアルファロメオに乗っているということですが、もはやジャッカルの車の色はブルー、ナンバーはフランスのものになっています。
ちょうどそのとき、ルベル一行を乗せたヘリコプターが上空を通過します。飛行方向から、男爵邸に向かうようです。
ジャッカルの車は山地の森林地帯を道を疾駆。けれども、やはり高速で走る対抗車と接触して、両者両ともに道路脇の藪や樹木に突っ込んでしまいます。
アルファロメオは大破。一方、相手の車の運転者は即死状態。しかし、車は動くようです。
ジャッカルはその車を盗み、捜査陣が引き上げた後のモンペリエの館に乗り込みます。
捜査陣の訪問と質問を受けた男爵夫人は、パリの警視が来たのはダガンが何か犯罪にかかわっているらしいと気づきます。でも、まさか大統領を狙う殺し屋とは思いもしません。
しかし、ジャッカルが訪れると、ふたたび情事に溺れ、彼を匿おうとします。
けれども、ジャッカルはいずれにしろ夫人を殺すつもりでした。その夜、夫人を殺害したジャッカルは、髪を黒茶に染め変えてデンマークの教師、ルンドクイストに変装し、男爵邸の車を盗んで逃走します。
翌朝遅く、館の使用人たちが寝室で殺害された夫人を発見、警察に通報します。その頃ジャッカルは、パリに向かう列車に乗っていました。当局の対応は、後手後手に回っているようです。
これで、ジャッカルは殺人犯として公開捜査の対象になりました。当局が追及する人物として公の場所やマスコミに顔写真が掲示されることになります。しかし、ジャッカルは、それを計算に入れて行動しています。
ルベルの補佐官、カロンは、フランス国内で自由に動き回るためには、偽の身分証明(パスポート)を手に入れたはずで、パスポートの盗難・紛失に目をつけるべきだと考えました。
この方針はは各国の捜査当局、外務在外公館に伝達され、調査が始まります。
その結果、ルベルは、デンマークの教師、ルンドクイストがパスポートの盗難・紛失事件に遭遇したことを突き止めました。
しかし、その後、ジャッカルはだれに扮して、どこに潜み、どこで大統領をねらうのか、これらはまだ一切不明です。