どこに潜んでいようとも、ジャッカルは結局、狙撃場所に現れるはず。
そう考えたルベルは、大統領が参加する記念式典、行事がおこなわれる予定の各地点を歩き回り、狙撃場所になりそうな場所を捜し回ります。
シャンゼリゼ通り、テュイルリ公園、ノートルダム大聖堂、エトワール広場……。狙撃場所から標的までの距離が150m以内となる建築物や物陰がある地点を見つけようとします。
時間はどんどん過ぎて、ついに狙撃実行日と確信される日が来ました。
ルベルは大統領を遠目に見ながら、大統領の訪問予定地を先回りして狙撃地点を捜し続けます。
6月18日広場と周囲の環境が、狙撃の条件に合致する! やっと見つけました。
大統領はその場所にすでに現れ、軍隊のパレードを観閲し献花を終えました。
一番危険な瞬間、ドゥゴールがいまだ生存している「解放戦士」たちに勲章を授与する瞬間が、まもなくやってきます。
ルベルは狙撃に最適と思われるアパルトマンの上階にに急ぎます。その途中で、その近辺が担当の若い警官を見つけ、その日この建物に入っていった人物がいないか質問します。
すると、「解放戦士勲章」を胸に飾った、傷痍軍人と思しき老人が、住人だといってこのアパルトマンに入ったことがわかりました。ルベルたちは建物最上階に急行します。
そのとき、ジャッカルは老人たちに勲章を授けようとするドゴールの頭部に照準を合わせて発砲したところでした。
ホロウポイント弾は命中した物体の内部で激しく炸裂し、物体を内側から粉々にするはずです。
しかしその瞬間、大統領は小さな老人の胸に勲章をつけるために、頭を下げてかがみました。
弾丸はそれて、回路の石畳の表面を破壊しましたが、軍楽隊の演奏と大観衆の騒音でだれも狙撃に気づきませんでした。
ジャッカルは2発目を装填します。
そのとき、警官が部屋のドアの錠を機関銃で打ち抜き、部屋に突入しました。
ジャッカルは振り向きざまに警官を撃ち殺しました。
続いて突入したルベルは目の前に転がる機関銃を拾い上げ、次の弾丸を込めようとするジャッカルに向けて発射しました。
近距離からのマシンガン掃射を浴びてジャッカルは壁の天井際まで吹き飛ばされ、即死しました。
その後の捜査で、チャールズ・カルスロップはジャッカルではないことが判明しました。結局、狙撃者の正体は、なぞのまま残りました。