父親たちの星条旗 目次
政治の手段としての戦争
見どころ
あらすじ
「誤算」の日米開戦
日本の海軍の無能さ
真珠湾攻撃
軍産複合体
戦争の「悪夢」
山頂の6人
山頂に星条旗を掲げる
戦時公債キャンペイン
事実 truth とは何か?
アイラの脱落
それぞれの人生
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戦史・軍事史関係
史上最大の作戦
パリは燃えているか
グリーンゾーン
戦艦ビスマルク撃沈

あらすじ

  1945年2月半ば、アメリカ軍は硫黄島への上陸と制圧作戦を敢行した。
  日本軍は、太平洋戦線において兵補給線をほとんどまったく構築することなく、無謀な占領作戦を展開してきた。それは、アメリカ軍側が周到に兵站補給線を構築確保すれば、なすすべなく崩壊するほかない無謀な作戦だった。というよりも、ほとんど戦略的展望を欠いたままの悲惨な戦線だった。
  日本側の太平洋戦線は次つぎに崩壊し、ついに硫黄島が日本本土への本格的攻撃の可否を左右する最後の決戦城となった。しかし、兵站を築けていない日本にとっては、全滅は不可避だった。しかし、無謀な「玉砕」迎撃戦を準備した日本軍の反撃は執拗で、アメリカ軍側には夥しい犠牲者が出た。

  敵味方死屍累々の戦場をアメリカ軍の若い兵士たちが駆け抜けていく。
  上陸作戦の第4日目にして、若い兵士たちは星条旗を硫黄島の山頂に掲げた。星条旗を押したてようとする若者6人の姿を映した写真は、アメリカのメディアに掲載された。
  長引く戦争でアメリカ国内では厭戦気分が強まり、戦時公債は売れ残りドルは暴落し、国家財政の危機は深刻化していた。戦費が底を尽きかけていた政府はこの写真を利用して「愛国心」を喚起して公債を売りさばく宣伝作戦に打って出た。宣伝戦は大成功し、戦時公債は売れに売れて、国庫には潤沢な資金が蓄えられることになる。

  ところが、写真に写っていた6人のうち、上陸後1週間後にも生存していたのは、わずか3人だった。彼らは前線から本国に呼び戻され、国家政治の道具として小突きまわされることになった。国家の圧倒的な宣伝戦に利用される若い兵士たちは、虚偽に満ちた報道と最前線の実情とのギャップとの板挟みになり、苦悩し、心を病む者さえ現れた。

「誤算」の日米開戦

  硫黄島の制圧は、アメリカ軍にとって日本の軍事力を全面的に破壊して戦争を終結させ、占領するための決定的なステップだった。
  硫黄島から発進した長距離爆撃機による空爆ができるようになれば、日本の国土と工業――そして一般民衆の生活――を破壊して、継戦能力を壊滅させることが可能になるはずだったのだ。降伏に応じようとしない日本政府を追い込むために、日本本土の軍備と経済的再生産体系を撃滅する、これがアメリカ側の戦略だった。
  一方日本人にとっては、アメリカ軍による硫黄島制圧は戦争悲劇の最後の幕へのステップだった。

  ここではまず、太平洋戦線の発端、展開からアメリカ軍の硫黄島占領にいたる道筋を追っておこう。
  というのも、私たち日本人としては、かつての日本の政府と軍の失敗の内容を知っておく必要があるだろうからだ。真珠湾攻撃がこれほどに大がかりな太平洋戦争の開戦に結びついたことは、日本軍にとって、大きな誤算から、言い換えれば戦略の欠如と軍組織の歪みが生み出した帰結だったことを理解する必要がある。
  そして、アメリカ側から見て、太平洋戦争にいたる経過はどのようなものだったのか。その問題は、この作品が描く状況をより深く広く理解するうえで不可欠なのだ。

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