ザ・パッケージ 目次
米ソ共謀としての冷戦
見どころ
あらすじ
軍縮交渉の始まり
ベルリンの惨劇
本国への護送任務
ギャラガー包囲網 殺戮戦
シカゴでの攻防
奮   闘
狙撃地点
後 始 末

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米ソ共謀としての冷戦

  かつての「冷戦構造」は、アメリカとソ連の双方が、それぞれ相手側の脅威を理由に自らの軍備拡張と軍事予算の維持拡大を求める仕組みを含んでいた。つまり、双方の権力中枢としての軍産複合体の利権を極大化する構造だった。
  米ソそれぞれの軍部が相手の軍事的脅威を理由に国家の軍事予算の拡大と兵器開発の拡充を推進する仕組みが成り立っていて、そのような軍備拡張がさらにまた軍備拡張の理由となっていた。つまり、双方が同じ言い分を持ち出して軍拡の自己増殖運動を展開する構造だった。
  その意味では、冷戦とは米ソ――政財界と軍部――の暗黙の共謀関係のうえに成り立っていたともいえる。 だが、もし意図的・意識的な共謀が組織されていたら……というのが、この作品『ザ・パッケージ―暴かれた陰謀』(1989年)のプロットの背景にある。

  映画の原題は The Package で、意味は一般的には「梱包された荷物」だが、軍用語で「軍法上の拘束を受けて送還される人物」「護送される人物」を意味するという。

見どころ
  映画の制作時期がまさに冷戦構造の崩壊が進んでいた最中だった。映画の制作陣は、東ヨーロッパでの社会主義レジームの相次ぐ崩壊とソ連でのペレストロイカの行き詰まりと体制危機の進行を眺めながら、物語や脚本をつくり、撮影を進めた作品。

  その時代、ペレストロイカによってアメリカとソ連は核兵器を全面的に廃棄する条約を締結しようと交渉していた。
  ところが、両国の軍部・軍産複合体のなかには、冷戦構造の解消によって自分たちの特権的な権益が切り崩されるのを恐れる勢力がいて、彼らは両国首脳による条約の最終署名(締結)を阻止するために、共同で謀略を企図していた。これが物語のプロットの背景にある状況だ。

  物語は、ベルリンからワシントンに強制送還される兵士(パッケイジ)を護送することになったアメリカ陸軍曹長が、空港でその兵士に逃亡され、追跡しようとすると悪辣で執拗なな妨害工作に阻まれてしまった。
  兵士はソ連首脳の暗殺を狙った狙撃手で、両国の軍幹部たちが共謀して、条約締結阻止のためにアメリカ国内に送り込んだ人物だった。狙撃手の標的への接近と逃亡をめぐっては、首脳を警護するための米ソ双方の警戒態勢に関する情報が漏洩している節があった。
  双方の軍内部で、首脳の軍縮交渉を頓挫させようとする勢力が暗躍しているらしい。
  主人公の曹長は、逃亡兵士の正体が暗殺者であることを探り出し、追跡捕縛のために奮闘する。

  冷戦が終わって25年が経過する現在、冷戦構造が――直接の共謀によって生まれたものかはともかくとして――客観的には米ソ双方の軍産複合体の共同主観によって組織化され独り歩きし、世界の多数の国家や、組織や企業、人間集団の行動を呪縛する幻影によって誘導されていたことは明らかとなっている。

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