まもなくギャラガーには新たな任務が与えられた。「パッケイジの配達」つまり、上官に暴行して逮捕された兵士をアメリカ本国へ護送する仕事だった。
じつは、ボイェットと名乗るこの男は暗殺専門の工作員だった。
わざわざギャラガーに護送任務を割り当てたのは、暗殺者の護送という役割を割り当てて彼を謀略の犠牲者にして抹殺しようとするウィテイカー大佐の悪意によるものだろう。
そのとき、軍情報部のウィテイカー大佐は、ウォルター・ヘンケという兵士に核軍縮交渉の阻止のために、アメリカでの任務を指示していた。ヘンケは軍情報部の兵員=エイジェントのようだ。
■ボイェットの逃亡■
ギャラガーはパッケイジを連行して、ドイツのアメリカ空軍基地から軍用機でワシントンの基地に飛んだ。
国内の基地に到着すると、ボイェットはトイレに入った。ところが、そこでボイェットとギャラガーは暴漢に襲われ、乱闘のなかでギャラガーは殴り倒され、その隙をついてボイェットは姿をくらました。
スナイパーであるボイェットの逃亡は、核軍縮交渉決裂のために周到に計画されたものだった。
ギャラガーはボイェットの追跡を開始した。
ほかに「手がかりはないので、手始めにボイェットの妻を訪ねることにした。
ところが、妻の家に入ると、部屋のなかに飾ってある夫の写真の顔はボイェットとは別の男のものだった。妻によると、夫は任務で世界各地を飛び回っていて、妻のもとに帰ってこないので、離婚の手続きを始めているとのことだった。
護送したパッケイジの人物が入れ替わっていたのだ。
疑惑を感じたギャラガーは、基地でボイェットの人事情報を閲覧しようとするが、秘匿扱いになっていて調べることができなかった。
陰謀の臭いを嗅ぎつけたギャラガーは、別れた元妻で、今は国防総省で陸軍の事務管理部門の中佐になっているアイリーンを訪ねた。
護送した兵士に逃亡されたことや、その男の人事情報が極秘となっていることなどを話して、追跡と捜索に協力を頼み込んだ。
アイリーンは頼みを引き受けて、ボイェットの人事情報の調査を部下の女性、ルース中尉に指示した。