殺される前のルースの調査で、ヘンケという謎の兵士がシカゴにいるはずだと判断された。シカゴには、ヘンケの実家があるからだ。ギャラガーは捜索を続けるため。アイリーンとともに彼女の車でシカゴに移動することにした。
だが、軍情報部の妨害工作・攻撃に加えて、警察や憲兵隊のギャラガー包囲網がいたるところに敷かれているので、ギャラガーは別の車のナンバープテイトを失敬して、妻の車のプレートと取り替えた。
ところでその頃、ボイェットはシカゴ市内で旅行者に扮して市街地をあちらこちら歩き回っていた。
彼の暗殺任務の標的は、ソ連共産党書記長のゴルバチョフだった。シカゴを歩き回っているのは、軍情報部から受けた情報にもとづいて、ゴルバチョフの立ち寄り予定地を探って狙撃地点を決めるためだった。
一方、ヘンケはこれまた軍情報部の命令によってシカゴに来ていた。
ボイェットの狙撃を支援する陽動作戦のためだった。陽動作戦で市内に騒乱や混乱を極右団体の反ソ活動を活発化させようというのだ。
ヘンケは、ソ連書記長の訪問に反対する活動を組織している極右団体に紛れ込んで、ビラ配りやデモンストレイションに参加していた。
ギャラガーは、ヴェトナム戦争のときの戦友で今はシカゴ警察の警部をしているミラン・デリッチを訪ねて、ヘンケの捜索を頼んだ。デリッチは気が進まないようだったが、ギャラガーの頼みを引き受けた。
とはいえ、シカゴ警察にも軍縮反対派のエイジェント(工作員)が入り込んでいた。エイジェントによってギャラガーやデリッチの動きは監視され、先回りされて妨害され、攻撃を受ける羽目になった。
さて、ギャラガーとアイリーンはほかに手がかりがないので、ヘンケの実家の母親を訪ねた。母親は、ギャラガーの質問に、ヘンケはシカゴにいるのだが家には顔を出さないと答えた。
だが、ギャラガーがヘンケの友人を装うと、母親は息子の仕事仲間だと勘違いして、息子あてに印刷物の荷物が来ていることを告げた。ギャラガーは、その荷物を仕事先に配達すると言って、印刷物の束を受け取った。