スティング 目次
原題と翻案原作
見どころ
あらすじ
踏んだのは「虎の尾」
ことのいきさつ
ルーサーの死
ゴンドーフと仲間たち
作戦構想を練る
ドイル・ロネガン
まずポーカーで引っかける
ロケとキャスト
撒き餌
駆け引き
疑似餌
フッカーの窮地
寄り添う殺し屋
はじけるカラクリ
大団円

駆け引き

  そのあとロネガンの宿泊先にケリー=フッカーが出向いた。そこで、ロネガンから自腹を切った分と「勝利の分け前」の分配を受けて、今後の「乗っ取り作戦」を打ち合わせた。
  ところがロネガンは、この電信競馬賭博で「旨み」を掬い取る仕組みを見せろと迫った。競争結果をいち早く伝達する経路をじかに見たい、ケリー=フッカーとつるんでいる電信局所長と会わせろというのだ。
  仕方なく、フッカーはこの要求をゴンドーフに伝えて、何とか手立てを取るように頼んだ。

  切羽詰っても何とかしてしまうのが、ゴンドーフの優秀なスタッフたち。
  ロネガンが電信局所長と会うことになっているその当日、シングルトンとトゥイストは、内装塗装職人の格好で電信局を訪れた。彼らは所長に会って、本部からの発注で所長室の内壁を塗り替えることになったと言って、所長を部屋から追い出した。そして、トゥイストが作業服を脱いで(下に着ていた)スーツ姿になり、所長に扮装した。
  その直後、ロネガンを連れたフッカーが所長室の裏口のドアをノックして、所長に扮したトゥイストを呼び出した。「場所がまずい」という理由で、偽所長は近くのカフェに一行を連れ出して、顔合わせと打ち合わせをすることになった。
  そこで、フッカーとトゥイストは、近く40万ドルの利益が期待できる「大きな賭け」に出る計画を提示した。
  つまり、ゴンドーフは即座にそれだけの出費=損失を強いられるわけで、破産は必然。乗っ取りは大成功となるはずだ。

  これで、ロネガンに電信競馬賭博の裏の仕掛けを見せて、かなりの程度の信頼をかちとることになった。
  だが、ロネガンはもっと大きな利益の獲得を考えていて、そのためにさらに用心を重ねようとした。
  ショー=ゴンドーフの店でこの方法をもう一度試してみたいと言い出した。前回よりも大きな額の金を賭けて、ほんとうに数万ドル規模の利益が出るかを確認しようというのだ。
  今度はロネガンは、1万5千ドルを4〜5倍の穴馬に賭けてみることにした。
  ロネガンを大きな罠にかけるには、フッカーがもちかけた仕かけの旨みをもう一度見せつけなければならない。
  だが、ここで数万ドルの出費ともなれば、ゴンドーフの仲間はそこで破産してしまうことになる。

疑 似 餌ル ア ー

  それに対してゴンドーフたちは、巧妙な対抗策を考案した。
  その日、ゴンドーフの店内ではロネガンを深く罠に引き入れるための準備が進められていた。シングルトンは、電信で送られてくる競馬実況の通信テイプのなかから、4〜5倍の掛け率の穴馬が勝利したレイス結果を探し出した。その勝ち馬の情報を通りの向かいの2階の部屋に電話で伝えた。
  見晴らしのいいこの部屋の住人は、トゥイスト。トゥイストは、例のカフェの電話番号を回した。
  そのカフェの電話で勝ち馬の情報を受け取ったのは、ロネガン。ロネガンは急いで、ゴンドーフの店をめざした。店に急ぐゴンドーフの姿を確認したのは、2階の部屋のトゥイストで、すぐさま店に電話を入れ、「臨戦態勢」を指示した。
  ロネガンが券売窓口に近づくと、さっと3人が彼の前に列をつくった。ロネガンは焦ったが、順番を待つしかない。とかくするうちにレイスは始まってしまい、ロネガンの順番の直前で馬券売りは締め切られてしまった。
  ロネガンは馬券の購入はあきらめたものの、レイスの結果をきっちり確認するつもりだった。結果は、電話の伝言どおりだった。
  これで、ロネガンの腹は決まった。
  ロネガンは店を後にするときフッカーを表に呼び出した。そして、言った。
「今度は50万ドル用意するから、準備しろ」
 

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