一方、新たな殺し屋は意外な手口でフッカーに接近した。
フッカーが常連となっているレストランに新しい女性従業員がきた。前にいた女性が辞めたので、臨時の後釜に座ったとのことだ。
彼女はフッカーと顔なじみになり、一度は店の外で、フッカーが以前から狙われている殺し屋の待ち伏せを受けたときには、フッカーが逃れる手助けをした。
フッカーを見逃してしまったその殺し屋は、その夜、新たな殺し屋に射殺されてしまった。
ロネガンの50万ドルを騙し取る作戦がいよいよ翌日に迫った日の深夜、フッカーは、何やら孤独感を感じて、その女性が恋しくなり、彼女のアパートを訪ねた。そしてその部屋で、一夜をともにした。
アパートの窓の下の通りには、フッカーを車から見張る男の影があった。
翌朝、フッカーが目覚めると、彼女は出かけた後だった。フッカーは自分のアパートに戻り、スーツに着替え、きょうの大作戦の準備と身支度を整えた。そして、部屋を出て通りに出た。
すると、向こうから昨夜愛を交わしたあの女性がやってきた。フッカーは顔を輝かせて彼女に近づき、彼女は笑顔を返した。
ところが、2人が近づいたそのとき、フッカーを見張っていた男がフッカーの背後から近づき、「その女は殺し屋だ!」と叫んで、銃を撃った。
銃撃を食らって、女性は倒れた。そして、彼女が左手でもっていたバッグの下の右手には、消音機つきの拳銃が握られていた。
男が来なければ、フッカーは暗殺されていたところだった。男はゴンドーフが雇った護衛だった。
その男によれば、女はロレッタ・サリーノ。ロネガンが新たに雇った凄腕の殺し屋だった。
男は念のため、ゴンドーフの店までフッカーを送っていき、ゴンドーフに目顔で挨拶(任務完了の一瞥)を送ると帰っていった。