スターウォーズ・シリーズ 目次
スターウォーズの宇宙世界観
『スターウォーズ』シリーズ
本考察のねらい
遠い昔、はるか彼方の銀河系で…
ジェダイとシス
因縁の敵対関係
アナキン・スカイウォーカー
アナキンを取り巻く銀河世界
  通商連合の分離反乱
  シスの謀略
  シディアスの独裁
  母の死、そして殺戮
  ジオノーシスでの決戦
共和政崩壊とジェダイの滅亡
ダースベイダーの誕生
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風の谷のナウシカ

◆シスの謀略◆

  ところが、元老院およびジェダイ評議会の指揮下で惑星ナブーを通商連合の侵略から防衛する戦争が展開されているあいだに、惑星コルサントの元老院と共和政庁では利権・派閥闘争が繰り広げられるなかで、やがて共和政の崩壊を導くことになるシスの謀略が着々と浸透していた。
  ナブーから元老院に派遣された政治代表パルパティーン議員はじつはダース・シディアスの別の顔だった。そして、パルパティーンは元老院内部での権力闘争や駆け引きでしだいに大きな影響力を獲得していった。そして、元老院の最高議長に選出されることになった。
  その後のシスや分離派との戦争を指揮するのがパルパティーンであってみれば、この戦乱の継続が共和政をより深い混乱と分裂にいたらしめるこのになのは避けられなかった。いや、パルパティーンは元老院はいうまでもなく、ジェダイ評議会にさえ意見の対立や分裂を引き起こそうと謀略を進めていくのだった。

  こうして、共和政の危機、とりわけシス派の勢力拡大と謀略に対しては、元老院だけでなく、ジェダイ評議会の内部でもさまざまな見解が分裂・対立していくことになった。マスター級――ジェダイのなかの指導層――のジェダイのなかでも、シスや通商連合との戦争における共和派側の戦略や作戦をめぐって意見の相違が生じた。ジェダイマスター層のなかには、自分の考えで評議会に諮ることなく兵器の開発や作戦を進める者がいた。そのことがやがて戦局を変え、戦争の形態と主要な戦力を組み換えていくことになる。
  この転換を描くのが、エピソードUである。

  エピソードTの結末から地球時間で約10年後のこと。
  エピソードUでは、銀河共和政の混乱と解体過程のなかで、すでに戦闘で死んだ有力なジェダイマスター ――銀河連邦軍の戦役ではジェダイは師団以上の規模の軍の指揮官=将軍の地位を与えられるという――の1人が、将来の戦役のためにクローン軍団を創設しようとした。
  そのマスターは、海洋惑星カミーノの兵器テクノクラートに人類型クローン兵士からなる連隊――およそ3000くらいの兵士からなる部隊で兵器体系や装備付き――の製造を発注していた。カミーノでは、政庁を牛耳っている兵器製造メイカ―が惑星全体を支配し大規模な兵器工廠を経営していて、銀河世界市場に兵器を供給していたのだ。

■ドロイドからクローンへの主要戦力の転換■
  それまで銀河系世界システムの戦争なかでは、分離派側軍の主要な戦力はドロイドだった。ドロイドとは戦闘用ロボットで、彼らの活動と機能は事前のプログラムと指揮官による命令――もちろんプログラムの枠内での――だけによるものだった。
  したがって、生物のような独特の自立的学習能力や感情、判断力などは持ち合わせていない。つまりは個体ごとの個性(パースナリティやアイデンティティなど)というものはない。
  戦闘場面での状況判断と行動はすべて事前にインプットしてあるプログラムの範囲内にとどまるものであった。

  さて、シス派の画策で銀河共和政からの分離・分裂を求める勢力は日増しに拡大し、共和派とジェダイの戦線はますます拡大していた。シス派によって背後から操られた分離派は、拡張ししていく戦線に夥しい数のドロイドを送り込んでいた。
  その破壊力・攻撃力に対抗するためには、共和派は人類型(生物型)兵員からなる軍団を投入しなければならなくなってきた――そのジェダイマスターは、こう考えた。そして、その方針=計画をジェダイ評議会に諮らずに単独で進めていた。
  いや、既成事実をつくりあげてからクローン型新兵器の戦役投入の計画を評議会で議論する前に戦死してしまったのだろう。

  ところが、そのマスターは戦死してしまったために、ジェダイ評議会には計画を把握する者がいなくなってしまった。しかしながら、カミーノ人たちは、当初の発注どおりにクローン兵員部隊の製造を進めていた。そして、最初の数連隊の製造が終わったので、「納品」についての連絡が評議会にもたらされた。
  というよりも、半ば風評のような情報だった。
  発注交渉がおこなわれたのは最初の原案についてだけで、その後のスペックや仕様の打ち合わせや詰めがないままに、製造工程が進行していたのだった。つまりは、発注者側の製造=品質管理がないままに、いわば無軌道にクローン兵団がつくり続けられていた。

  この空隙に入り込んで、クローン兵団を自らに都合のよい兵力に取り込もうとする勢力がいた。その1人が、賞金稼ぎのジャンゴ・フェットだった。彼は、カミーノ人に取り入って自分自身をクローンの原型とすることに成功した。
  この陰謀を遠方から操っていたのは、シス派の頭目シディアスだと思われる。
  シディアスは、やがて元老院=共和派の正規軍の主要戦力がクローン兵員によって置き換えられるであろうことを予測し、むしろその傾向を加速させ、いずれはシス派の指揮に順応しやすいクローン兵士をつくり出し、共和派軍を内部から浸食しようとしていたのだ。つまりは、銀河軍の乗っ取り戦略を描いていたわけだ。

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