スターウォーズ・シリーズ その９
◆シディアスの独裁◆
後年のオビワン・ケノービ
ドゥークゥ伯爵
ところで、ダース・シディアスはそのとき元老院の最高議長――チャンセラーなので宰相あるいは最高執行官というべきか――のパルパティーンの役を演じていたので、策謀の直接の指揮をカウント・ドゥークゥ（カウントは伯爵という意味で、大軍管区の指揮官）にやらせていた。
ドゥークゥはもともと有力なジェダイなのだが、評議会とはそりが合わずに評議会の権威がおよばない銀河辺境で独立不羈に暮らしていた。才能にあふれているがゆえに、古臭い権威を振りまわすジェダイ評議会には不満を抱いていた。
シディアスはそこにつけ込んで、露骨な利益誘導によってシス派に抱き込んだのだ。そして、ダークサイドの秘訣を伝授してパウワーアップさせていたのだ。
シディアスがドゥークゥに授けた戦略はこうだった。
①銀河共和政に反発する通商連合の指導者を核として、共和政に不満を抱く勢力を「分離派連合」に結集させて、その同盟軍の暗躍で各地で反乱や分離運動を引き起こさせる。
②分離派の運動に反対するパドメ・アミダラ（今は元老院議員となっている）を捕縛ないしは暗殺する。
そのための手先として、賞金稼ぎジャンゴ・フェットを動かし、ジェダイを撹乱する。
一方、シディアス＝パルパティーンは元老院とコルサントの銀河政庁のなかで権力基盤を固め、元老院のなかでも私利私欲に奔りがちな者どもを利益誘導で抱き込もうとしていた。
しかも表向きには、「公正中立」で「決断力のある」指導者としての虚像を確立して、銀河政庁の権力を独占しようと謀っていた。
そのいきつく先には、元老院最高議長の指揮に直属する常設の軍事組織としての「銀河連邦軍」の創設という目標があった――これは、エピソードⅢで描かれる。もちろん、この大がかりな軍組織の主要戦力は、クローン軍団となるはずだった。
ところで、銀河世界システムのあちらこちらで共和政レジームが綻び始めて、通商連合やら分離派連合による反乱や紛争が頻発していた。元老院共和派とジェダイ評議会は、こうしたレジーム衰退への対処に手を焼いていた。
反乱地帯や紛争地帯――反乱紛争が生じた惑星系や恒星系――にそのつど軍を派遣していたが、破綻し始めたレジームを何とか維持するために、常備の軍隊の必要を感じていた。
というよりも、各前線に派遣される軍隊の総戦力はいまや巨大な規模になっていて、あれこれのコルサントからの指揮によって離合集散しているさまは、さながら、すでに常設の銀河連邦軍が組織されているかのように見えた。とはいえ、この大規模な軍事組織は統一的な指揮系統、つまり最高司令官とその命令系統を欠いていた。
ところがレジームの全体的危機という緊急事態のもとで、ついに元老院は、パルパティーンにクローン軍団による大規模な常設軍の設立と指揮権を与える法案を承認した。こうして、シディアス＝パルパティーンは、いずれは独裁体制を敷くための重要な権力手段を手に入れた。
ところで、惑星カミーノに調査に訪れたオビワンはそこでジャンゴ・フェットを見つけた。オビワンは、共和政の撹乱・転覆のために数々の犯罪や事件を起こしているジャンゴを捕えようとする。が、まんまとジャンゴは逃げ出すことができた。
カミーノから脱出したジャンゴに、ドゥークゥはオビワンを罠に陥れるための計略を授けた。ジャンゴが天体ジオノーシスに逃げ込み、追いかけてくるオビワンを捕縛しようというのだ。計略は当たって、オビワンはドゥークゥたちに捕えられてしまう。
オビワンは急難信号を発信するとともに、アナキンに救助を求める信号を送ったが、アナキンは――パドメの護衛の任務につきながら――惑星タトゥーインに残してきた母のことに気を取られていたために、オビワンの危難に気がつかなかった。
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